ブルドッグ

ブルドッグ (Bulldog) は、ハリー・ポッターの世界に登場するマグルの犬種です。魔法的な能力は一切持たない生物ですが、主にバーノン・ダーズリーの姉であるマージョリー・ダーズリーがブリーダーとして飼育しており、彼女の不快で意地悪な性格を象徴する存在として描かれています。物語の中では、特に彼女が溺愛する「リッパー」という名のブルドッグが重要な役割を果たします。

ブルドッグが物語で最も顕著に登場するのは、3巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』です。マージョリー・ダーズリーダーズリー家を訪れる際、彼女は年老いた雌のブルドッグ、リッパーを伴ってきました。

  • ハリー・ポッターへの敵意: リッパーは飼い主であるマージに似て、ハリーに対して終始うなり声をあげ、敵意をむき出しにしました。ハリーが5歳の頃、マージがダーズリー家を訪れた際には、リッパーがハリーを庭の木の上まで追い詰め、マージが夜中過ぎにようやく呼び戻すまで下ろさせなかったという過去があります。
  • マージ・ダーズリー膨張事件: ハリーが意図せずして叔母のマージを風船のように膨らませてしまった際、リッパーは狂ったように吠え立て、宙に浮かんでいくマージの足に噛みつこうと飛び跳ねました。この騒動は、ハリーがダーズリー家を飛び出す直接の引き金となりました。

作中で描かれるブルドッグ、特にリッパーは、ブルドッグという犬種の典型的な外見、すなわちがっしりとした体格と強面の顔つきをしています。性格は飼い主であるマージョリー・ダーズリーの影響を強く受けており、以下のような特徴が見られます。

  • 攻撃性: 飼い主以外の人間、特にハリー・ポッターに対して非常に攻撃的で、常に警戒心と敵意を示します。
  • 甘やかされた性質: 飼い主のマージからは溺愛されており、彼女の皿から紅茶を飲んだり、ブランデーを与えられたりと、非常に甘やかされています。
  • 飼い主への忠誠: マージに対しては非常に忠実であり、彼女がハリーを侮辱する際には静かに聞き入っています。

マージョリー・ダーズリーは、リッパーの他にも11匹のブルドッグを自宅で飼育していると述べています。

  • マグルの動物: ブルドッグは魔法的な能力を一切持たない、完全に非魔法的な生物です。その行動は、すべて犬としての本能と飼い主による訓練に基づいています。
  • 身体的な強さ: 犬種としての身体的な強さを持ち、子どもであるハリーを木の上に追い詰めるほどの威圧感と力を持っています。
  • マージョリー・ダーズリー: 飼い主であり、ブルドッグのブリーダー。彼女は人間よりも自分の犬たちの方が良い仲間だと公言しており、特にリッパーを溺愛しています。
  • ハリー・ポッター: 幼少期からブルドッグたちの威嚇の対象となっており、彼にとってダーズリー家での不遇を象徴する存在の一つです。
  • ダーズリー一家: マージとの関係からブルドッグの存在を容認していますが、特にペチュニア・ダーズリーは犬が家のカーペットを汚すことを嫌がっている様子が描かれています。