ダーズリー家

ダーズリー家は、ハリー・ポッターの唯一の存命中の血縁者であり、マグル(非魔法族)の家族である。一家はサリー州リトル・ウィンジングのプリベット通り4番地に居住している。リリー・ポッターの姉であるペチュニア・ダーズリーが、夫のバーノン・ダーズリー、息子のダドリー・ダーズリーと共に暮らしている。ヴォルデモート卿によるポッター夫妻殺害後、アルバス・ダンブルドアの計らいにより、ダーズリー家は不本意ながらもハリーを預かることになった。 彼らは魔法を激しく嫌悪しており、「まとも」で「普通」であることを至上の価値としている。そのため、ハリーの存在を疎んじ、幼少期には虐待に近い扱いをしていた。物語を通じて、彼らは魔法界との関わりを拒絶し続ける、ハリーにとっての抑圧的な家庭環境の象徴として描かれている。

ダーズリー一家は、世間体を何よりも重んじ、隣人に対して自分たちが完璧に「普通」の家庭であると見せることに執心している。彼らは魔法やその他一切の異常な事柄に対して、恐怖と憎悪に近い感情を抱いている。この価値観は、一家の生活様式、他人への態度、そして特にハリーへの扱いに色濃く反映されている。家の中は常に清潔に整えられているが、その雰囲気は愛情に欠け、息苦しいものである。

首がほとんどなく、大きな口ひげを生やした、恰幅のいい大男。非常に頑固で偏狭な性格であり、自分の理解できないものや気に入らないものに対しては、怒鳴り散らして否定する。ハリーの魔法の兆候を「叩き出す」ために、厳しい躾や罰を与え続けた。

馬面で骨ばった、非常に痩せた女性。姉のリリーとは対照的に金髪である。首が異常に長く、それを近所の噂話を探るために使っている。彼女の魔法嫌悪の根底には、魔法の才能に恵まれた妹リリーへの長年の嫉妬と、自分も魔法界の一員になりたかったという秘めたる願望があった。(Pottermore)

幼少期は両親に甘やかされた結果、非常にわがままで欲深い、いじめっ子の少年だった。金髪で、父親に似て太っている。当初はハリーを格好のいじめの標的としていたが、5年生の夏に吸魂鬼 (ディメンター) に襲われた事件を境に、内面に変化が生じ始める。最終的にはハリーに対して感謝の念を示すまでに成長した。

  • ハリー・ポッターと賢者の石: ハリーを階段下の物置で生活させ、彼宛のホグワーツ魔法魔術学校からの入学許可証を執拗に隠蔽しようとする。最終的にルビウス・ハグリッドの介入により、ハリーは魔法界の存在を知ることになる。
  • ハリー・ポッターと秘密の部屋: ハリーを部屋に監禁し、魔法界との接触を断たせようとする。ドビーの妨害により、バーノンの重要な商談が台無しにされる。
  • ハリー・ポッターとアズカバンの囚人: 訪ねてきたマージおばさんがハリーの両親を侮辱したことにハリーが激怒し、意図せず魔法で彼女を風船のように膨らませてしまう事件が起きる。
  • ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団: ハリーとダドリーが吸魂鬼に襲われる。この事件でダドリーは生まれて初めて本当の恐怖を味わい、ペチュニアは自分が魔法界について予想以上の知識を持っていることを明らかにする。彼女はアルバス・ダンブルドアからの吼えメールを受け、ハリーを家に置いておくことの重要性を再認識させられる。
  • ハリー・ポッターと死の秘宝: ヴォルデモートの脅威が迫る中、不死鳥の騎士団の保護のもと、プリベット通り4番地を離れることを決意する。出発の際、ダドリーはハリーに命を救われたことへの感謝を述べ、和解の兆しを見せた。

ダーズリー家は全員がマグルであり、魔法の力を持たない。彼らは魔法を「まがいもの」や「異常」とみなし、徹底的に排除しようとする。特にバーノンはその傾向が強い。しかし、ペチュニアは姉が魔女であったため、吸魂鬼アズカバンといった魔法界の存在について基本的な知識を持っていた。一家は、ハリーが家にいる限り、リリーの血の護りによって安全が確保されているという事実を知らされていなかった。

  • Dursley (ダーズリー): J.K.ローリングの出身地に近い、イギリスのグロスタシャー州にある町の名前。作者によれば、特に深い意味はなく、語感が気に入って選んだという。(作者インタビュー)
  • Vernon (バーノン): 作者が特に好まない名前の一つであり、その響きから採用された。(作者インタビュー)
  • Petunia (ペチュニア): 花の名前。姉のリリー(百合)が美しさや純粋さの象徴であるのに対し、ペチュニアはよりありふれた、地味な花というイメージがあり、姉妹の対比を示唆している。
  • Dudley (ダドリー): 英語圏で「退屈な、つまらない男 (dud)」を連想させる響きを持つ名前。
  • ペチュニアはかつて、姉のリリーと同じようにホグワーツ魔法魔術学校へ行きたいと願い、アルバス・ダンブルドアに手紙を書いたが、マグルであるために断られた過去がある。彼女のハリーへの冷たい態度の根源には、この時の拒絶と長年の嫉妬心があった。(Pottermore)
  • J.K.ローリングによると、バーノンがジェームズ・ポッターを嫌ったのは、初めて会った際にジェームズが魔法界の自慢話(グリンゴッツの財産など)をし、バーノンがそれをからかわれていると誤解したことがきっかけだった。(Pottermore)
  • 物語の後、ダドリーは結婚し、2人の子供をもうけた。ハリーとダドリーは、お互いの家族を訪問するほどの関係にはならなかったが、クリスマスカードを送り合う程度の関係を続けた。(作者インタビュー)