ポモーナ・スプラウト

ポモーナ・スプラウトは、ホグワーツ魔法魔術学校の薬草学教授であり、ハッフルパフ寮の監督生です。彼女は温かく公正な人柄で生徒から慕われていますが、アルバス・ダンブルドアへの忠誠心が非常に厚く、第二次魔法戦争では不死鳥の騎士団の強力な味方として、その専門知識を駆使して学校を防衛しました。物語全体を通じて、彼女は魔法植物学の権威として、またハッフルパフの価値観である「勤勉、忍耐、忠誠」を体現する人物として描かれています。

スプラウト先生のホグワーツ入学以前の経歴については、原作ではほとんど触れられていません。彼女の物語における役割は、主にホグワーツ魔法魔術学校の教員として展開されます。

• 『ハリー・ポッターと賢者の石』
  • 彼女は賢者の石を守るための防衛魔法の一つとして、巨大な悪魔の罠を仕掛けました。これは彼女の薬草学における卓越した能力を初めて示すものでした。
• 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
  • 秘密の部屋が開かれ、バジリスクによって生徒たちが石にされる事件が発生した際、スプラウト先生の役割は極めて重要でした。彼女はマンドラゴラの育成を担当し、その「強力な回復薬」となる叫び声が成熟するのを待って、石にされたすべての被害者を元に戻すことに成功しました。
• 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
  • 魔法省から派遣されたドローレス・アンブリッジがホグワーツの支配を強める中、スプラウト先生はアンブリッジに対して公然とではないものの、明確な不満を示しました。アンブリッジの授業視察中、彼女はハリー・ポッターがじょうろを渡してくれたことに対して、アンブリッジの目の前で「お手伝い」を理由にハッフルパフに20点を与え、ダンブルドアへの支持を暗に示しました。
• 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
  • 第二次魔法戦争が激化し、ヴォルデモート卿と死喰い人がホグワーツに侵攻した際、スプラウト先生は学校の防衛において中心的な役割を果たしました。彼女はネビル・ロングボトムや他の生徒たちと共に、温室からマンドラゴラや毒テントウタケなどの危険な魔法植物を運び出し、城壁から投下して敵を攻撃しました。このホグワーツの戦いでの彼女の勇敢な行動は、教育者としてだけでなく、強力な魔女としての一面を証明しました。
• 戦後と引退
  • 戦後も彼女はしばらくの間、薬草学の教授を続けました。最終的に彼女は引退し、その職は彼女の最も優れた生徒の一人であったネビル・ロングボトムに引き継がれました。（ハリー・ポッターと呪いの子、Pottermore）

• 外貌
  • ずんぐりとした小柄な魔女で、風になびく白髪が特徴です。いつも継ぎ当てのある帽子をかぶり、彼女のローブや手は温室での作業からついた土で汚れていることが多いです。その姿は、彼女が実践的な植物学者であることを物語っています。
• 性格
  • 基本的に陽気で気さくな性格ですが、教育者としては厳格な一面も持ち合わせています。彼女はハッフルパフの寮監として、生徒たちに公正かつ献身的に接します。特に、セドリック・ディゴリーの死後には彼の両親を慰め、ハリー・ポッターが真実を語っていることを信じるなど、深い思いやりと正義感を持っています。また、ダンブルドアへの忠誠心は揺るぎなく、アンブリッジの圧政やヴォルデモートの脅威に直面した際には、臆することなく立ち向かう勇敢さを示しました。

• 薬草学 (Herbology)
  • 彼女の専門分野であり、魔法界でも随一の知識と技術を誇ります。危険な悪魔の罠を制御し、石化を解くためのマンドラゴラを完璧に育て上げるなど、その能力は計り知れません。ホグワーツの戦いでは、この知識を応用して魔法植物を武器として使用しました。
• 魔杖 (Wand)
  • 彼女の杖の材質、芯、長さなどの具体的な情報については、原作および公式資料には記載がありません。
• 守護霊 (Patronus)
  • 彼女が守護霊の呪文を使用する場面はなく、その形態は不明です。

• つぎはぎの帽子 (Patched Hat)
  • 彼女のトレードマークともいえる、使い古された帽子。常に土いじりをしている彼女のライフスタイルを象徴しています。
• 耳当て (Earmuffs)
  • マンドラゴラの植え替え授業で生徒たちに支給したピンク色のふわふわした耳当て。成熟したマンドラゴラの叫び声が人間にとって致命的であるため、薬草学の授業では不可欠な道具です。

• アルバス・ダンブルドア
  • 非常に忠実な同僚であり、友人でした。彼女はダンブルドアのリーダーシップと価値観を深く信頼しており、彼の死後もその遺志を継いでホグワーツを守ることを決意しました。
• ミネルバ・マクゴナガル
  • 同じくホグワーツの古参の教授であり、寮監として長年の同僚です。二人は学校の危機に際して常に協力し、固い信頼関係を築いています。
• ネビル・ロングボトム
  • 彼女の最も才能ある生徒の一人であり、薬草学への情熱を共有する存在でした。スプラウト先生はネビルの才能を早くから見抜き、彼の自信を育む手助けをしました。最終的にネビルが彼女の後を継いで薬草学の教授となったことは、二人の師弟関係の集大成と言えます。
• ハッフルパフの生徒たち
  • 寮監として、彼女はハッフルパフの生徒たちを深く気遣い、保護しました。特に、セドリック・ディゴリーのような模範的な生徒を誇りに思っていました。

• ポモーナ (Pomona)
  • ローマ神話に登場する、果樹と庭園、果物を司る女神の名前に由来します。これは薬草学の教授である彼女の役割に完璧に合致しています。
• スプラウト (Sprout)
  • 英語で「芽」や「芽吹く」を意味する単語です。植物の成長を促す彼女の職業を直接的に示唆しています。

• 映画版『ハリー・ポッター』シリーズでは、女優のミリアム・マーゴリーズがポモーナ・スプラウトを演じました。
• J.K. ローリングは、彼女が第二次魔法戦争を生き延びたことを認めています。その後の彼女の引退とネビル・ロングボトムの教授就任は、『ハリー・ポッターと死の秘宝』のエピローグと、公式サイト「Pottermore」で明らかにされました。