吼えメール
基本情報
- タイプ (Type): 魔法のかかった手紙、通信手段
- 製造者 (Maker): 不明
記述と外観
吼えメールは、鮮やかな緋色の封筒に入れられた魔法の手紙です。開封されると、手紙自体が口の形に変化し、送り主の声を魔法によって巨大な音量に増幅してメッセージを叫び出します。その声量は、大広間のような広い空間の端から端まで響き渡るほどです。 メッセージを伝え終えると、通常は自然発火して燃え尽き、灰になります。もし受取人が意図的に手紙を開封しなかった場合、封筒は激しく爆発し、開封した場合よりもさらに大きな音量でメッセージを叫び散らすため、内容を無視することは事実上不可能です。
魔法の特性と用途
- 主な用途: 吼えメールの最も一般的な用途は、送り主の激しい怒りや不満を伝えることです。その凄まじい音量と公衆の面前で恥をかかせる効果から、特に親が子供を叱責する際に用いられます。
- 緊急性の高い伝言: 怒りの伝達だけでなく、極めて重要かつ緊急性の高いメッセージを、相手に決して無視させない形で伝えるためにも使用されます。アルバス・ダンブルドアがペチュニア・ダーズリーに送った吼えメールがこの代表例です。
- 脅迫と嫌がらせ: リータ・スキーターによる中傷記事の後、ハーマイオニー・グレンジャーが受け取ったように、悪意ある嫌がらせや脅迫の手段としても悪用されることがあります。中にはブボチューバーの膿のような危険物を同封するケースも存在します。
歴史
吼えメールの発明者やその正確な起源については、原作小説では語られていません。物語の中では、1992年にモリー・ウィーズリーが息子のロン・ウィーズリーに送ったものが初めて登場し、読者にその存在と機能が紹介されました。
物語における役割
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』: ロン・ウィーズリーは、ハリー・ポッターと共に父親のフォード・アングリアを無断で使い、ホグワーツへ飛んだことについて、母親のモリー・ウィーズリーから吼えメールを受け取ります。これは大広間での朝食中に配達され、全校生徒の前でロンは激しく叱責されました。また、ネビル・ロングボトムも「決闘罪」で罰則を受けたことについて祖母から吼えメールを受け取っています。
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』: ハーマイオニー・グレンジャーは、リータ・スキーターの扇情的な記事によってハリー・ポッターとビクトール・クラムの心を弄ぶ少女という不名誉な評判を立てられ、世間から大量の敵意のこもった吼えメールを受け取ります。
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』: 物語の中で最も重要な吼えメールが登場します。アルバス・ダンブルドアがペチュニア・ダーズリーに対し、「覚えておけ、私の最後の手紙を (Remember my last)」という短いメッセージを送ります。この一言により、ペチュニアはハリー・ポッターをプリベット通りの家に留まらせることを余儀なくされ、ハリーの母親リリー・ポッターが遺した血の護りを維持する上で決定的な役割を果たしました。
幕後情報
- 映画版『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、吼えメールが独創的な視覚効果で描かれています。手紙が自ら折り紙のように口の形を形成し、歯や舌まで備えている様子が表現されました。メッセージを叫び終えた後、原作のように燃えるのではなく、自らを細かく引き裂いて消滅します。(映画設定)