国際クィディッチ協会

国際クィディッチ協会

国際クィディッチ協会 (International Quidditch Association) は、魔法界で最も人気のあるスポーツ、クィディッチの国際的な統括団体である。この組織は、クィディッチの公式ルールの制定と更新、4年ごとに開催されるクィディッチ・ワールドカップの主催、そしてスポーツの公正性を維持するための国際的な監督責任を担っている。その活動は、マグルに魔法界の存在を気付かせないよう、国際魔法使い機密保持法を遵守しながら行われる。

国際クィディッチ協会の設立時期は明確ではないが、その存在が不可欠となったのは、クィディッチが国際的な人気を獲得し始めた中世以降である。1473年には、記録上最初のクィディッチ・ワールドカップを主催した。この大会の決勝戦では、後に「記録されている限りのすべてのファウル」とされる約700もの反則行為が記録され、協会が厳格なルールを整備する必要性を浮き彫りにした(『クィディッチ今昔』)。 1692年に国際魔法使い機密保持法が施行されると、協会の役割はさらに重要になった。何千人もの魔法使いが一同に会するワールドカップのような大規模イベントを、マグルの目を盗んで開催することは極めて困難な課題となり、協会は各国の魔法省と連携し、厳重な秘密保持措置を講じるようになった。 協会は、試合の安全性を確保し、公平性を保つために数多くのルールを導入してきた。例えば、試合中に選手が対戦相手にを使用することを禁止する規則(1538年制定)や、ゴールデンスニッチの捕獲によって試合が終了し、捕獲したチームに150点が与えられるという中心的なルールを正式化したのもこの協会である。

  • ファウルのリスト化: 1473年のワールドカップで発生した700のファウルをすべて記録し、公式な反則リストの基礎とした(『クィディッチ今昔』)。
  • 杖の使用禁止: 1538年、試合中における対戦相手へのの使用を全面的に禁止した(『クィディッチ今昔』)。
  • ストゥージングの禁止: チェイサーが相手チームのキーパーを複数人でゴールポストから突き飛ばす戦術「ストゥージング (Stooging)」を反則行為に指定した(『クィディッチ今昔』)。
  • ブルージェン (Blatching): 相手選手を妨害する意図で衝突する行為「ブルージェン (Blatching)」を禁止した(『クィディッチ今昔』)。
  • チームロゴへの介入: ポルトリー・プライド・オブ・プレイスのロゴが、呪いをかけられたデザートスプーンから取られたデザインだったため、協会が介入し、2つの「C」と1つの「V」を組み合わせたものに変更させた逸話がある(『クィディッチ今昔』)。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で言及される1994年のクィディッチ・ワールドカップでは、運営組織として「国際魔法使い連盟クィディッチ委員会 (International Confederation of Wizards' Quidditch Committee - ICWQC)」という名称が登場する。これは、国際クィディッチ協会そのものであるか、あるいは国際魔法使い連盟の下に設置された下部組織である可能性が高い。両者の正確な関係は原作では明記されていないが、国際的なクィディッチの試合を管轄するという点で、その役割は一致している。

  • 「国際クィディッチ協会」という名称と、その歴史や規則に関する詳細な設定の大部分は、J.K. ローリングが慈善活動のために執筆したコンパニオンブック『クィディッチ今昔』に由来する。この本は、ホグワーツの図書館の蔵書という設定で書かれている。
  • 本編シリーズ(特に『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』)で言及される「国際魔法使い連盟クィディッチ委員会」と『クィディッチ今昔』で語られる「国際クィディッチ協会」が同一の組織を指すのか、あるいは別組織なのかは、ファンの間でも議論の対象となることがある。一般的には、ほぼ同等の機能を持つ組織として解釈されている。