ゴールデン・スニッチ

ゴールデン・スニッチは、クルミほどの大きさの、輝く金色の金属球です。その両側には、くるくると回転する一対の小さな銀色の羽がついており、これにより非常に高速で、予測不可能な動きで空中を飛び回ることができます。その小ささと驚異的なスピードのため、捕獲は極めて困難です。

  • クィディッチにおける役割: スニッチは4つのボールの中で最も重要です。試合中にシーカーがスニッチを捕獲すると、そのチームに150点が与えられ、その時点で試合は終了します。この高得点により、スニッチの捕獲はほとんどの場合、試合の勝敗を決定づけます。
  • 肉の記憶 (Flesh Memory): スニッチには、製造者によって、最初に素手で触れた人物を記憶するという特殊な魔法がかけられています。これは、捕獲者を巡る論争が発生した際に、唯一の証拠として機能するためのものです。一度最初の捕獲者を記憶すると、そのスニッチは他の誰が触れても反応しません。
  • 特別な魔法: アルバス・ダンブルドアハリー・ポッターに遺したスニッチには、「我、終わる時に開く (I open at the close)」という謎の言葉が刻まれており、ハリーが自らの死を決意した時にのみ開くという、極めて特殊な魔法がかけられていました。

ゴールデン・スニッチは、かつてクィディッチの試合で使われていた、絶滅危惧種の魔法生物ゴールデン・スニジェットの代用品として発明されました。スニジェットを捕獲することが試合の一部であったため、その乱獲が進み、種が絶滅の危機に瀕しました。 これを受けて、13世紀頃にゴドリックの谷出身の熟練した金属呪文師であるボーマン・ライトが、スニジェットの飛行パターンと速度を完全に模倣した金属製のボール、すなわちゴールデン・スニッチを開発しました。これにより、クィディッチは生物を傷つけることなく続けられるようになりました。

ゴールデン・スニッチは、ハリー・ポッターシーカーとしての才能を象徴するアイテムとして、物語の初期から登場します。彼が初めて出場した試合で、スニッチを口で捕獲したことは特に有名です。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、物語の鍵を握る重要なアイテムとなります。アルバス・ダンブルドアの遺言により、ハリーが初めて捕らえたスニッチが彼に遺されます。当初、ハリーはこのスニッチを開くことができませんでしたが、最終的に「終わる時」が自らの死に直面する時だと悟ります。 このスニッチには死の秘宝の一つである蘇りの石が隠されていました。ハリーがヴォルデモート卿との最終決戦に臨み、禁じられた森で自らの死を受け入れた瞬間にスニッチが開き、石が現れました。

  • スニッチの起源に関する詳細な歴史は、J.K.ローリングが執筆した関連書籍『クィディッチ今昔』に記されています。
  • 映画版では、ゴールデン・スニッチは非常に精巧な機械仕掛けの装置として描かれ、その内部構造が視覚的に表現されています。(映画設定)