狼人間との大いなる山歩き
基本情報
- タイプ (Type): 書籍、ホグワーツ魔法魔術学校 教科書
- 著者 (Maker): ギルデロイ・ロックハート
概要と装丁
『狼人間との大いなる山歩き』 (Wandering with Werewolves) は、著名な魔法使いであり作家のギルデロイ・ロックハートによって執筆された自伝的作品の一つです。本書は、彼が狼人間と遭遇し、見事にそれを撃退したとされる冒険譚を記録しています。 本書の具体的な装丁に関する記述は原作にはありませんが、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で山積みされた彼の他の著作と同様に、表紙には著者自身が満面の笑みを浮かべた、おそらくは動く大きな写真が使われていたと推測されます。
内容と目的
本書は1992年から1993年の学校年度において、ギルデロイ・ロックハートがホグワーツ魔法魔術学校の闇の魔術に対する防衛術の教授に就任した際に、2年生の必須教科書として指定されました。その目的は、生徒たちに狼人間のような危険な闇の生物への対処法を、著者自身の「英雄的な」経験を通して教えることでした。 しかし、物語の終盤で明らかになるように、本書に書かれている内容はすべてギルデロイ・ロックハートによる捏造です。彼は実際の手柄を立てた他の魔女や魔法使いから話を聞き出した後、彼らに強力な記憶呪文 (オブリビエイト) をかけて記憶を消し、その功績を自らのものとして盗用していました。したがって、この本は教育的価値がほとんどなく、実質的には著者の名声欲を満たすための自己宣伝の道具に過ぎませんでした。
来歴
本書は1992年以前に出版され、ギルデロイ・ロックハートの数々のベストセラー作品の一つとして魔法界で広く知られていました。同年夏、ダイアゴン横丁のフローリシュ・アンド・ブロッツ書店で行われたサイン会で、ロックハートはハリー・ポッターに自身の全著作集を宣伝目的で贈呈し、本書もその中に含まれていました。 この本を含むロックハートの全著作は高価であったため、ウィーズリー家のような家庭にとっては大きな経済的負担となりました。教科書としての一年間を通じて、ロックハートの授業で引用されたり、彼のファンであるハーマイオニー・グレンジャーによって頻繁に参照されたりしました。
物語における役割
『狼人間との大いなる山歩き』は、ギルデロイ・ロックハートという人物の虚栄心と詐欺的な本性を象徴する重要な小道具として機能します。彼の著作は、秘密の部屋の怪物という真の脅威に直面していた生徒たちに対し、いかに当時の闇の魔術に対する防衛術の教育が機能不全に陥っていたかを示しています。 この本に書かれた華々しい冒険譚と、実際の危機に際して何もできずに狼狽するロックハート本人との著しい対比は、物語の進行とともに彼の化けの皮が剥がれていく過程を効果的に描き出しています。最終的に、本書の内容がすべて嘘であったという事実は、彼の失墜を決定的なものにしました。
幕後情報
- 原題: 本書の原題は Wandering with Werewolves です。
- 頭韻法: ロックハートの著作のタイトルは、『バンシーとの船旅』(Voyages with Vampires ではなく、Breaking with Banshees)、『トロールとの旅』(Travels with Trolls)、『グールとの寄り道』(Gadding with Ghouls) など、多くが頭韻(alliteration)を踏んでいます。これは彼の様式化された、自己顕示欲の強い作家としての個性を強調する文学的技法です。