インビジビリティ・ブースター

インビジビリティ・ブースター (Invisibility Booster) は、最高級のレース用箒であるファイアボルトに組み込まれた、高度な魔法の機能の一つです。 この機能は、隠れマントのように使用者を完全な透明にするものではありません。その代わり、騎乗者を、特に遠距離から視認しにくくさせる効果を持ちます。物理的な部品として存在するわけではなく、箒本体にかけられた魔法の呪文や仕組みであると推測されます。その存在は、ファイアボルトの所有者向けハンドブックに記載されていました。

インビジビリティ・ブースターの主な目的は、飛行中の騎乗者の姿をぼやかし、敵やクィディッチの対戦相手から発見されにくくすることです。この機能は常時発動しているのか、あるいは特定の操作で起動するのかについては、原作では詳しく言及されていません。 この効果は絶対的なものではなく、あくまで「見えにくくする」レベルに留まります。そのため、近距離や、非常に優れた視力を持つ魔法生物などに対しては、その効果が限定的である可能性が示唆されています。これは、ハリーが三大魔法学校対抗試合の第一の課題でドラゴンと対峙する際に、この機能がドラゴンの鋭い目に対して有効かどうかを思案したことからうかがえます。

この機能は、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で初めて言及されます。三大魔法学校対抗試合の第一の課題がドラゴンであることを知ったハリー・ポッターは、自分のファイアボルトを徹底的に点検し、その性能を最大限に活かす方法を模索します。その際、彼はファイアボルトのハンドブックを読み、このインビジビリティ・ブースターの存在を知りました。 ハリーは、この機能がハンガリー・ホーンテール種のドラゴンの目を欺けるかどうかを検討しましたが、最終的にはドラゴンの注意を逸らすために呼び寄せ呪文を使用する作戦を選んだため、インビジビリティ・ブースターが実戦で使われることはありませんでした。しかし、この描写はファイアボルトがいかに他の箒とは一線を画す高性能な製品であるかを示すと同時に、ハリーが自身の持つ道具の能力を分析し、戦略を練るクレバーな一面を浮き彫りにしています。

  • このインビジビリティ・ブースターという設定は、原作小説にのみ登場する詳細な情報です。映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ハリーがファイアボルトの機能を分析する場面は省略されているため、この機能についても言及されていません。(映画設定)