コークワース
基本情報
- タイプ (Type): 町(工業都市)
- 所在地 (Location): イングランド、ミッドランズ地方
- 主な特徴 (Key Features): 汚れた川、廃工場、レンガ造りの家々が並ぶ労働者階級の街並み
概要と歴史
コークワースは、イングランドのミッドランズ地方にある架空の工業都市です。物語の中では、高い煙突を持つ廃れた工場や汚れた川、そして同じようなレンガ造りの家が立ち並ぶ、陰鬱で活気のない場所として描かれています。この町は、セブルス・スネイプと、リリー・エバンズおよびペチュニア・エバンズ姉妹の故郷です。 スネイプとリリーの幼少期、二人の関係が形成された重要な舞台であり、彼らが住んでいた地域には、二人が初めて魔法について語り合った公園などが含まれています。この町の荒涼とした雰囲気は、魔法の世界への憧れや、あるいはそこからの逃避を望む登場人物たちの心情を象徴しています。
物語における役割
コークワースは、物語全体を通じていくつかの重要な出来事の背景となっています。
- 主要人物の幼少期: この町は、セブルス・スネイプの生い立ちと、彼がリリー・エバンズに抱いた愛情の原点です。同時に、リリーの魔法の才能に対する姉ペチュニア・エバンズの嫉妬心が芽生えた場所でもあります。スネイプの薄暗い家庭環境と、彼がマグルの世界に対して抱く嫌悪感は、この町での経験に深く根差しています。
- スピナーズ・エンドでの「破れぬ誓い」: 第6巻『ハリー・ポッターと謎のプリンス』において、スネイプの自宅があるスピナーズ・エンドは極めて重要な場面の舞台となります。ここでスネイプは、ドラコ・マルフォイを助けることをナルシッサ・マルフォイと「破れぬ誓い」で約束します。この出来事は、スネイプの忠誠心がどちらにあるのかという、物語の核心的な謎を深める役割を果たしました。
- ダーズリー家の避難: 第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』で、ダーズリー一家はホグワーツ魔法魔術学校からの手紙から逃れるため、一時的にコークワースにある「レールビュー・ホテル」に滞在します。これは、ペチュニアにとって、自らが拒絶した魔法の世界との繋がりを思い起こさせる皮肉な場所への帰還を意味します。
既知の区域
- スピナーズ・エンド (Spinner's End): スネイプ家が住んでいた通り。川沿いの薄汚れた袋小路で、彼の家は本で埋め尽くされた薄暗い居間が特徴的に描かれています。
- 公園 (Playground): エバンズ家の近くにある公園。第7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』の回想シーンで、幼いスネイプがリリーに彼女が魔女であることを告げ、二人の関係が始まった場所として描かれます。
- レールビュー・ホテル (Railview Hotel): コークワースの郊外にある陰気なホテル。第1巻でダーズリー一家がルビウス・ハグリッドから逃れるために宿泊しました。
幕後情報
- 名前の由来は、工業地帯を連想させる「コークス (Coke)」(石炭から作られる燃料)と、英語の地名によく使われる接尾辞「ワース (-worth)」(囲い地や屋敷地の意味)を組み合わせたものと考えられます。これは町の工業的で荒涼としたイメージを強調しています。
- 作者のJ.K.ローリングは、イギリスの工業地帯の典型的な風景をモデルにこの町を創造したと推測されます。それは、魔法の世界の魅力と対比される、現実世界の厳しさや退屈さを象徴する装置として機能しています。(Pottermore)