ダドリー・ダーズリー

ハリー・ポッターの従兄であり、バーノン・ダーズリーペチュニア・ダーズリーの一人息子。魔法の力を持たないマグルである。物語序盤では、両親に甘やかされて育ったいじめっ子としてハリーを苦しめる存在だった。しかし、吸魂鬼 (ディメンター) に襲われた事件をきっかけに、物語の終盤でハリーと和解し、人間的な成長を遂げる。彼の存在は、ハリーが過ごした過酷な幼少期を象徴すると同時に、最も非魔法的な環境に育った人物にも変化と良心が芽生える可能性を示している。

  • ハリー・ポッターとほぼ同時期に生まれ、プリベット通り四番地ダーズリー家で溺愛されて育った。両親はダドリーを溺愛する一方でハリーを虐待しており、その結果、彼はわがままで欲深く、暴力的な少年に育った。
  • ピアーズ・ポルキスなどを取り巻きにした「ダドリー軍団」を引き連れ、ハリーや他の弱い子供たちをいじめていた。
  • 毎年誕生日には大量のプレゼントを与えられていた。『ハリー・ポッターと賢者の石』では、プレゼントが36個しかないことに不満を漏らしている。
  • 動物園への遠足中、ハリーが意図せず魔法の力でボア・コンストリクターを逃がした際、蛇のいた水槽に閉じ込められるという体験をした。
  • 11歳の誕生日に、ルビウス・ハグリッドによって豚の尻尾を生やされて以来、魔法に対する恐怖心を強める。
  • 肥満を解消するため、両親から厳しいダイエットを強いられた。その後、通っていたスメルティングズ男子校でボクシングを始め、ジュニア・ヘビー級のチャンピオンになるほどに体を鍛え上げた。
  • ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、ハリーと共にリトル・ウィンジング吸魂鬼 (ディメンター) に襲われる。この時、ハリーに命を救われるが、吸魂鬼の影響で自分自身の本当の姿(いじめっ子で残酷な人間)を目の当たりにし、精神的に大きな衝撃を受けた。この出来事が、彼の内面に変化をもたらす重要な転機となった。
  • ハリーが17歳になる直前、不死鳥の騎士団の保護下でダーズリー家が隠れ家へ避難する際、ダドリーは家族の中で唯一ハリーの身を案じる様子を見せた。
  • なぜハリーが一緒に来ないのかと問い、ハリーが直面している危険を理解していることを示した。
  • ハリーと握手を交わし、「命を救ってくれた」と感謝の言葉を述べた。彼はハリーを「場所の無駄じゃない」と認め、長年の確執の末に和解を果たした。この行動はハリーを深く驚かせた。
  • 家を出る前、ハリーのために玄関の前に紅茶の入ったカップを置いておくという、ささやかながらも心のこもった行動を見せた。
  • 外見:幼少期は「かつらをかぶった豚」と形容されるほど太った金髪の少年。ボクシングを始めてからは、体重は依然として重いが筋肉質でがっしりとした体格になった。
  • 性格:当初は両親に甘やかされた結果、自己中心的で貪欲、暴力的ないじめっ子だった。しかし、吸魂鬼との遭遇後は、以前よりも物静かで思慮深くなった。この経験を通じて、自己の内面と向き合わざるを得なくなり、最終的には感謝や思いやりといった人間的な良心を示すまでに成長した。

マグルであるため、ダドリーは一切の魔法能力を持たない。

マグルであるため魔法の道具は所有していないが、彼の人物像を象徴するいくつかの物品が物語に登場する。

  • 大量の誕生日プレゼント:レーシングバイク、コンピュータ、テレビゲームなど、物質的な豊かさの象徴。
  • スメルティングズ男子校の制服と杖:マルーン色の燕尾服、オレンジ色の半ズボン、そして相手を叩くために使っていた杖。
  • バーノン・ダーズリーペチュニア・ダーズリー:両親。二人から盲目的に溺愛され、甘やかされて育った。彼の初期の性格形成は、この二人の歪んだ子育てに起因する部分が大きい。
  • ハリー・ポッター:従兄。幼少期の大半において、ダドリーはハリーを最も苦しめる存在だった。しかし、吸魂鬼から命を救われたことをきっかけに関係が変化し、最終的には和解に至った。
  • マージョリー・ダーズリー:叔母。両親と同様にダドリーを溺愛し、ハリーと比較しては彼を褒めそやした。
  • ピアーズ・ポルキス:友人。ダドリーが率いるいじめっ子グループの主要メンバー。
  • Dudley:イングランドのウェスト・ミッドランズにある町の名前。英語圏ではやや古風で、退屈な響きを持つことがある名前。
  • Dursley:イングランドのグロスタシャーにある町の名前。作者のJ.K.ローリングは、この名前が「鈍くて近寄りがたい」響きを持つと感じたため選んだと語っている。(Pottermore)
  • J.K.ローリングは後のインタビューで、成人したハリーとダドリーは「クリスマスカードを交換する」程度の関係を保っていると明かした。時折家族で会うこともあったが、二人の子供たちはお互いの親が共有する複雑な過去を理解できず、黙って座っているだけだったという。(作者インタビュー)
  • 吸魂鬼に襲われた際、ダドリーが見た幻覚は「ありのままの自分自身の姿」であった。これは彼にとって非常に辛い経験だったが、結果的に自分を見つめ直すための有益な教訓になったと作者は語っている。(作者インタビュー)
  • 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、ダドリーがハリーと和解する場面が撮影されたが、最終的に本編からはカットされた。(映画設定)