チャーム (呪文学)

魔呪(チャーム)は、魔法の主要な分野の一つであり、ホグワーツ魔法魔術学校では「呪文学」として教えられる基礎科目である。この分野の呪文は、対象の物体や生物の本質を変えるのではなく、それに新たな特性や能力を付与することを目的とする。 日常生活で用いられる多くの便利な呪文が魔呪に分類され、決闘においても防御や妨害に不可欠な役割を果たすなど、その応用範囲は極めて広い。

魔呪と変身術の最も重要な違いは、その作用の本質にある。呪文学の権威であるフィリウス・フリットウィック教授によれば、魔呪は対象が何をするかを変える魔法であるのに対し、変身術は対象が何であるかを根本的に変える魔法である。

  • 例: パイナップルにタップダンスをさせる呪文は、パイナップルという物体の本質を変えずに「ダンスする」という能力を付与するため、魔呪に分類される。一方、ネズミをゴブレットに変える呪文は、生物を無生物へと完全に変化させるため、変身術に分類される。

この定義に基づき、浮遊、召喚、発光、防御、記憶の改変など、対象に特定の性質や振る舞いを加える呪文の多くが魔呪に含まれる。

呪文学は、ホグワーツ魔法魔術学校の1年生から履修する必須科目であり、O.W.L.試験の科目の一つである。さらに高度な内容を学ぶため、N.E.W.T.レベルのクラスも存在する。

物語で頻繁に登場し、重要な役割を果たした魔呪には以下のようなものがある。

英語の “Charm” は、ラテン語で「歌」や「詩」、「呪文」を意味する carmen に由来する。これは、古代の魔法がしばしば歌や詠唱の形で実践されていたことと関連していると考えられる。

  • J.K. ローリングは、魔法体系の論理的な基盤として、魔呪と変身術の間に明確な一線を引いた。この区別は、作中の魔法のルールを理解する上で重要な概念となっている。
  • 映画版では、特に1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』における呪文学の授業が、ロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーのやり取りを含めてコミカルかつ印象的に描かれ、魔法世界の楽しさを象徴するシーンとなった。(映画設定)