魔法のテント

• タイプ (Type): 魔法道具、住居
• 所有者 (Owners):
  • 魔法省（パーキンス氏がアーサー・ウィーズリーに貸与）
  • ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー（分霊箱探しの旅で使用）
  • 他、多数の魔法使い（クィディッチ・ワールドカップなどで使用）
• 製造者 (Maker): 不明

魔法のテントは、外見上はありふれたマグル用のテントに見えるように意図的に作られています。多くの場合、古びてみすぼらしいキャンバス地でできており、魔法の存在を隠すための完璧なカモフラージュとして機能します。例えば、1994年のクィディッチ・ワールドカップでウィーズリー家が使用したテントは、外から見ると窮屈で継ぎはぎだらけでした。 しかし、テントの内部は伸展呪文 (Undetectable Extension Charm) によって、外見からは想像もつかないほど広大で快適な空間が広がっています。ウィーズリー家が使用したテントは、まるで古風なアパートの一室のようで、二段ベッド、キッチン、テーブル、さらにはバスルームまで備わっていました。ハーマイオニー・グレンジャーが分霊箱探しの旅に持参したテントも同様に広く、生活に必要な家具が一通り揃っていました。

魔法のテントの最も重要な特性は、その携帯性と居住性です。

• 空間拡張 (Spatial Expansion): 中にかけられた伸展呪文により、内部空間は物理的な制約を受けずに拡張されています。これにより、重量を増やすことなく広々とした居住空間を確保できます。
• 携帯性 (Portability): 魔法によって小さくたたむことができ、ハーマイオニー・グレンジャーのビーズバッグのように、ごく普通のバッグに入れて簡単に持ち運ぶことが可能です。
• 快適性 (Comforts): テント内部には、家具、調理設備、場合によっては水道設備まで魔法によって備え付けられており、どんな場所でも文明的な生活を送ることができます。
• 防御呪文 (Protective Charms): テントそのものに防御機能はありませんが、使用者は周囲に様々な防御呪文を施すことで安全を確保します。ハーマイオニーは分霊箱探しの際、テントの周囲に以下の呪文を毎日かけていました。
  • マグル避け呪文 (Muggle-Repelling Charm)
  • プロテゴ・トタラム (Protego Totalum)
  • サルビオ・ヘクシア (Salvio Hexia)
  • ケイブ・イニミカム (Cave Inimicum)
  • 姿くらまし防止呪文 (Anti-Disapparition Jinx)

魔法のテントは、魔法使い社会においてキャンプや大規模なイベント（特にクィディッチ・ワールドカップ）の際に一般的に使用される道具です。多くの魔法使いの家族が、快適な野外活動のために所有またはレンタルしています。 物語で特に重要な役割を果たすテントは、元々魔法省の役人であるパーキンス氏の所有物でした。彼はアーサー・ウィーズリーにワールドカップ観戦のためにこのテントを貸し出しました。後にハーマイオニー・グレンジャーが不死鳥の騎士団から譲り受け、ビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式の後に隠れ穴から持ち出し、分霊箱探しの旅の拠点として使用しました。

• ハリー・ポッターと炎のゴブレット: 初登場。魔法界の日常的な魔法の素晴らしさと便利さを示す象徴として描かれました。外見のみすぼらしさと内部の豪華さの対比は、ハリー・ポッターに大きな驚きを与えました。
• ハリー・ポッターと死の秘宝: 物語において極めて重要な役割を果たします。ヴォルデモートの分霊箱を探すハリー、ロン、ハーマイオニーにとって、このテントは移動式の隠れ家であり、唯一の「家」となりました。閉鎖された空間は、分霊箱のロケットが悪影響を及ぼす中で三人の関係に緊張をもたらし、ロン・ウィーズリーが一時的に一行を離れる舞台ともなりました。最終的に、”ヴォルデモート”という名前が禁句 (Taboo) となっていたために死喰い人に発見され、三人が逃げる際にその場に放棄されました。

• 魔法のテントの「外側より内側が広い」というコンセプトは、ファンタジー作品における古典的なアイデアですが、J.K.ローリングはそれを魔法使いの日常生活に根差した、非常に実用的な道具として描いています。
• 映画版では、テントの内外の劇的な対比が視覚的に巧みに表現されており、魔法の驚きを効果的に伝えています。