ノーバート

ノーバート (Norbert) は、ルビウス・ハグリッドホグワーツ魔法魔術学校 の敷地内で違法に孵化させた ノルウェー・リッジバック種 のドラゴンの個体名です。ノーバートの孵化と飼育は、ハリー・ポッターロン・ウィーズリー、そして ハーマイオニー・グレンジャー にとって1年目の大きな試練の一つとなりました。後にこのドラゴンは雌であることが判明し、ノーベルタ (Norberta) と改名されました。

ノーバートの卵は、1992年に ルビウス・ハグリッドホッグズ・ヘッド・パブ でフードを被った見知らぬ人物(正体は ヴォルデモート卿 に寄生された クィリナス・クィレル)との賭けに勝って手に入れたものです。ハグリッド は長年ドラゴンを飼うことを夢見ており、この卵を暖炉の火で温めて孵化させました。 孵化の瞬間には ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャー が立ち会いました。生まれたばかりのノーバートは、まるで「黒くてしわくちゃの傘」のような姿をしていました。ハグリッド は母親のようにノーバートの世話をしましたが、ドラゴンは驚異的な速さで成長し、すぐに小屋では飼いきれない大きさになりました。また、その過程で ロン・ウィーズリー の手に噛みつき、毒のある牙で重傷を負わせています。 ドラコ・マルフォイ がノーバートの存在に気づいたことで、ハグリッド は違法飼育が発覚する危機に瀕しました。

友人の窮地を救うため、ハリーたちは ロン・ウィーズリー の兄で、ルーマニアのドラゴン保護区で働く チャーリー・ウィーズリー に連絡を取りました。チャーリーの協力のもと、ノーバートをルーマニアへ密かに移送する計画が立てられました。 ハリーとハーマイオニーは、夜中に透明マントを使ってノーバートを木箱に入れ、天文台の塔 の頂上まで運びました。そこで待っていたチャーリーの友人たちにノーバートは引き渡され、無事にルーマニアへと運ばれていきました。しかし、この一件でハリーとハーマイオニーは アーガス・フィルチ に捕まり、罰則を受けることになりました。この罰則がきっかけで、彼らは 禁じられた森 で初めて ヴォルデモート卿 と遭遇します。

物語の後半、『ハリー・ポッターと死の秘宝』で、ハグリッドチャーリー・ウィーズリー からの手紙をハリーたちに見せる場面があります。その手紙の中で、チャーリーは「ノーバート」が実は雌のドラゴンであったことを報告し、ノーベルタ (Norberta) と改名したことを伝えました。また、彼女が他の ノルウェー・リッジバック種 と共に元気に過ごしていることも記されていました。

  • 外見: 孵化したばかりのノーバートは、とがったツノ、オレンジ色の大きな目、短い鼻、そしてゴツゴツした黒い鱗を持っていました。翼は背中に比べて不釣り合いなほど大きいと描写されています。
  • 性格: ノーバートはドラゴンの本能に従い、非常に攻撃的で危険な生物でした。しかし、孵化のときから世話をしていた ハグリッド を母親と認識しており、彼にだけは懐いている様子を見せました。
  • 火炎放射: ドラゴンとして、口から強力な炎を吐く能力を持っています。
  • 毒の牙: ノルウェー・リッジバック種 の特徴であり、その牙には毒が含まれています。ロン・ウィーズリー は噛まれた後、傷が緑色に腫れ上がり、専門的な治療を必要としました。
  • 飛行能力: 生後数週間で、すでに飛行する能力の片鱗を見せていました。
  • 強靭な皮膚: ドラゴンの皮膚は非常に硬く、多くの初歩的な呪文に対して耐性があります。
  • Norbert: ゲルマン語由来の男性名で、「北 (nord)」と「輝かしい (berht)」を組み合わせた言葉です。これは彼女の種族名である「ノルウェー・リッジバック種 (Norwegian Ridgeback)」の「ノルウェー (北の国)」を暗示している可能性があります。
  • Norberta: Norbert の女性形です。
  • 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』では、アルバス・ダンブルドア が後にハリーに語る形で、自分がドラゴン好きの ハグリッド のために卵を手配したことを示唆する場面がありますが、これは原作にはない映画独自の脚色です。(映画設定)