映画版

映画版(えいがばん)とは、J.K. ローリングによる全7巻の小説『ハリー・ポッター』シリーズを原作として、ワーナー・ブラザースが製作・配給した実写映画シリーズを指す。2001年から2011年にかけて全8作品が公開された。 この映画シリーズは世界的な成功を収め、『ハリー・ポッター』の世界観の視覚的イメージを決定づけた一方で、原作小説とは異なる数多くの設定変更、キャラクター描写の差異、物語の省略や追加が存在する。当辞典の記述においては、原則として原作小説を第一の正典 (Canon) とし、映画版独自の要素については、それが映画版に限定された情報であることを明確にするために使用される。

  1. ハリー・ポッターと賢者の石 (2001年)
  2. ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2002年)
  3. ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2003年)
  4. ハリー・ポッターと炎のゴブレット (2005年)
  5. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (2007年)
  6. ハリー・ポッターと謎のプリンス (2009年)
  7. ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (2010年)
  8. ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 (2011年)

映画版は上映時間の制約などから、原作の物語や設定を大幅に簡略化、あるいは変更している。以下に代表的な相違点を挙げる。 物語の省略と変更

キャラクター描写の変更

  • ロン・ウィーズリーの役割が一部縮小され、彼の機転の利くセリフや勇敢な行動の一部がハーマイオニー・グレンジャーのものに変更されている傾向がある。
  • ジニー・ウィーズリーの人物描写が簡略化されており、原作で見られた彼女の快活さ、気の強さ、ハリーとの関係性の発展が十分に描かれていない。
  • 『炎のゴブレット』において、アルバス・ダンブルドアがハリーに名前をゴブレットに入れたか問いただす場面で、原作の冷静な態度とは異なり、感情的に激しく問い詰める描写になっている。

映画シリーズには、原作には存在しない独自のシーンや設定が追加されている。

  • 『謎のプリンス』において、クリスマスの休暇中に死喰い人隠れ穴を襲撃し、家を炎上させるシーン。原作ではこのような襲撃は発生しない。
  • 『謎のプリンス』の冒頭で、死喰い人がロンドンのミレニアム・ブリッジを破壊するシーン。
  • 『死の秘宝 PART1』で、ゴドリックの谷から脱出した後、ハリーとハーマイオニーがテントの中で踊るシーン。これは二人の孤独感と絆を象徴する描写として追加された。
  • 『死の秘宝 PART2』の最終決戦後、ハリーがニワトコの杖を真っ二つに折って捨てるシーン。原作では、ハリーは杖を修理した後にアルバス・ダンブルドアの墓へ戻している。