空間拡張チャーム
呪文の基本情報
- 呪文の名称 (Incantation): 不明
- 発音 (Pronunciation): 不明
- 杖の動き (Wand Movement): 不明
- 光の色 (Light Color): 不明
- 効果 (Effect): 容器や空間の内部を、その外見を変えることなく拡張する。この呪文で拡張された空間に追加された内容物の重さは、魔法によって相殺されるため、容器自体の重さは変化しない。
- 分類 (Type): 魔呪 (チャーム)
既知の用途と歴史
空間拡張チャームは、非常に実用性が高い一方で、高度な技術を要する魔呪です。この呪文は、物体の内部次元を物理的な外観に影響を与えることなく拡大するため、魔法使いや魔女の日常生活から重要な任務に至るまで、様々な場面で利用されています。ただし、その強力な効果ゆえに魔法省による規制の対象となっており、特に住居の拡張のような大規模な使用は法律で禁じられています。 作中での主な使用例は以下の通りです。
- アーサー・ウィーズリーのフォード・アングリア: 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において、アーサーがこの呪文を使い、古いフォード車を改造した。その結果、外見は普通の車でありながら、内部にはウィーズリー家の6人の子供たち、ハリー、そして夫妻の合計9人と、大量のトランクやペットの動物たちを収容できるほどの広大な空間が確保されていた。
- 魔法のテント: 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で開催されたクィディッチ・ワールドカップのキャンプサイトで数多く見られた。外見はありふれた小さなテントだが、一歩足を踏み入れると、内部は家具付きの複数の部屋を備えたアパートのような豪華で広々とした空間になっている。
- ハーマイオニー・グレンジャーのビーズ付きハンドバッグ: この呪文の最も象徴的な使用例。ヴォルデモートの分霊箱を探す旅に出る際、ハーマイオニーは小さなビーズのハンドバッグにこの呪文をかけた。彼女はこのバッグの中に、大量の教科書、着替え、薬品、テント、食料、さらにはグリフィンドールの剣といった、旅に不可欠なあらゆる物を詰め込んで持ち運んだ。このバッグは、三人が生き延びる上で決定的な役割を果たした。
学習と対抗策
空間拡張チャームは、実行が非常に難しい高度な魔呪とされています。ホグワーツ魔法魔術学校のカリキュラムでは、おそらくN.E.W.T. (めちゃくちゃ疲れる魔法テスト) レベルで教えられると推測されます。ハーマイオニーがまだ学生でありながら、小さなハンドバッグにこの複雑な呪文を完璧に施すことができたのは、彼女が同世代の中で並外れた魔法の才能を持っていたことの証左です。 この呪文に対する直接的な対抗呪文や解除方法は、原作では言及されていません。「検知不可能 (Undetectable)」という名前が示す通り、この呪文がかけられていること自体を外部から見破るのは極めて困難です。そのため、対抗策は魔法的なものではなく、魔法省による法的な規制という形が取られています。
名前の語源
英語名の Undetectable Extension Charm は、この呪文の特性を直接的に表現しています。
- Undetectable: 「検知不可能」を意味し、呪文がかけられた対象の外観や重さが変わらないという重要な性質を示している。
- Extension: ラテン語の extendere(引き伸ばす、広げる)に由来し、「拡張」を意味する。
- Charm: 対象の性質や機能に影響を与える魔呪の一種。
日本語名の「空間拡張チャーム」は、これらの要素を簡潔に翻訳したものです。
舞台裏の情報
- 呪文が不適切に、あるいは未熟な技術でかけられた場合、拡張された内部空間は不安定になる危険性がある。最悪の場合、中に入れた物が勝手に吐き出されたり、入った人物が中に閉じ込められてしまったりすることもある。(Pottermore)
- 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、ハーマイオニーがビーズ付きハンドバッグから次々と大きな物を取り出す場面が視覚的に効果的に描かれ、この呪文の便利さと不思議さが観客に分かりやすく伝えられた。(映画設定)