カドマス・ペベリルは、13世紀に生きたとされる伝説的な純血の魔法使いであり、高名なペベリル三兄弟の次男です。『吟遊詩人ビードルの物語』に収録されている「三人兄弟の物語」の登場人物として知られています。 彼は三つの死の秘宝の一つである「蘇りの石」の最初の所有者でした。カドマスは横柄な性格で、死を辱めることを望んだ結果、蘇りの石を手に入れましたが、その力によって愛する者を完全に生き返らせることはできず、絶望の末に自ら命を絶ちました。彼はゴーント家の祖先であり、その血筋は最終的にヴォルデモート卿へと繋がっています。
カドマスの生涯に関する具体的な記録はほとんど残っておらず、その詳細は主に『吟遊詩人ビードルの物語』の中の寓話によって語り継がれています。
伝説によれば、カドマスは兄のアンタイオク・ペベリル、弟のイグノタス・ペベリルと共に旅をしている途中、危険な川に差し掛かりました。三人は魔法で橋を架けて渡ることで、通常ならば川で命を落とす人々を待ち構えていた死の目論見を回避しました。 出し抜かれたことに腹を立てつつも、狡猾な死は三人の魔法を称賛するふりをし、褒美として望むものを一つずつ与えることを提案しました。傲慢な男であったカドマスは、死をさらに辱めたいと考え、死者を呼び戻す力を求めました。そこで死は、川岸の小石を拾い上げ、それに力を与えてカドマスに渡しました。これが蘇りの石です。 故郷に戻ったカドマスは、若くして亡くなったかつての恋人を生き返らせるために石を使いました。彼女は現世に現れましたが、その姿は悲しげで冷たく、生者の世界と死者の世界の間のヴェールによって隔てられていました。彼女が真にこの世に属していないことを悟ったカドマスは、絶望と満たされない想いから狂気に陥り、彼女と完全に結ばれるために自ら命を絶ちました。 アルバス・ダンブルドアは、この物語は寓話であり、ペベリル兄弟は死に出会ったのではなく、非常に強力で才能ある魔法使いであり、自ら死の秘宝を創り出したのだろうと推測しています。
原著においてカドマスの外見に関する記述は一切ありません。 性格については、「三人兄弟の物語」の中で傲慢な男 (an arrogant man) と評されています。彼の死に対する挑戦的な態度や、死者を蘇らせるという禁忌の力を求めたことから、彼の傲慢さと、自然の摂理を捻じ曲げようとする強い意志がうかがえます。しかし、亡き恋人を深く愛し、彼女を取り戻したいと願う情熱的な一面も持っていました。最終的にその愛が彼を破滅へと導きました。
カドマスは、兄弟と共に危険な川に瞬時に橋を架けるほどの高度な魔法技術を持っていました。これは、強力な変身術または呪文の知識を有していたことを示唆しています。 アルバス・ダンブルドアの推測が正しければ、彼は蘇りの石を自ら創り出したことになり、これは歴史上でも類を見ない、極めて高度で深遠な魔法の使い手であったことを意味します。