ノルウェー・リッジバック種

ノルウェー・リッジバック種 (Norwegian Ridgeback) は、ドラゴンの品種の一つであり、その獰猛さと希少性で知られています。外見は黒い鱗と背中に沿った特徴的な隆起を持ち、非常に強力な火炎放射能力と毒のある牙を備えています。物語の中では、ルビウス・ハグリッドが違法に入手した卵から孵化させ、ノーバート（後にノーベルタと判明）と名付けた個体を通じて、その生態と危険性が描かれました。魔法省による分類は最高の危険度である「XXXXX」に指定されています。

この種の生態と物語における具体的な経緯は、主にハグリッドが育てた一個体を通じて語られます。

• 卵の入手と孵化
  1. 1992年、ルビウス・ハグリッドはホッグズ・ヘッドのパブでフードを被った見知らぬ人物（正体はヴォルデモートに寄生されたクィリナス・クィレル）との賭けに勝ち、ノルウェー・リッジバック種の卵を一つ手に入れました。
  2. ハグリッドは暖炉の火で卵を温め、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーが見守る中で孵化させました。生まれたドラゴンはノーバートと名付けられました。
• ホグワーツでの短い生活
  1. 孵化直後から、ノーバートは火の玉を噴くなど、ドラゴンとしての危険な本能を見せ始めました。
  2. 短期間で急激に成長し、ハグリッドの小屋で飼育するにはあまりにも大きく、危険な存在となりました。また、その過程でノーバートはロン・ウィーズリーの手に噛みつき、牙の毒によってロンは重傷を負いました。
  3. イギリスにおけるドラゴンの飼育は固く禁じられているため、ハリーたちはロンの兄であるチャーリー・ウィーズリーに連絡を取り、ルーマニアのドラゴン保護区へノーバートを移送する計画を立てました。
• ルーマニアへの移送
  1. ハリーとハーマイオニーは、ホグワーツ城で最も高い天文台の塔の頂上までノーバートを運び、チャーリーの友人たちに引き渡しました。この一件により、彼らは夜間外出の規則を破ったとして罰則を受けることになりました。
  2. 後に第二次魔法戦争の最中、チャーリー・ウィーズリーから「ノーバート」が実は雌であり、保護区で「ノーベルタ」と改名されたことが明かされました。

• 外見
  1. 全身が黒い鱗で覆われています。最も顕著な特徴は、背骨に沿ってゴツゴツと突き出た黒い隆起（Ridge）です。
  2. 孵化したばかりの幼体は、「黒いシワだらけの傘」のように見え、ピンポン玉ほどの大きさの目にオレンジ色の瞳を持っています。
• 性格
  1. ノルウェー・リッジバック種は、他の多くのドラゴン種と比較しても特に攻撃的で獰猛な性質を持つとされています。
  2. 縄張り意識が非常に強く、特にメスはより凶暴であると言われています。人間を含むほとんどの生物に対して敵対的です。

• 火炎放射 (Fire-Breathing)
  1. 生後1ヶ月から3ヶ月という非常に早い段階で火を噴く能力を身につけます。幼体であるノーバートも、孵化直後から火の輪を噴き出すことができました。
• 毒の牙 (Venomous Fangs)
  1. 牙には強力な毒が含まれています。ロン・ウィーズリーはノーバートに噛まれた際、傷口が緑色に変色し、激痛と共にひどく腫れ上がりました。
• 飛行能力 (Flight)
  1. 他のドラゴンと同様に、強力な翼で空を飛ぶことができます。
• 強靭な肉体 (Physical Strength)
  1. ドラゴン特有の硬い鱗は多くの呪文に対する高い防御力を持ち、その顎と爪は非常に強力な武器となります。

• ドラゴンの卵 (Dragon Egg)
  1. ノルウェー・リッジバック種の卵は真っ黒で、石のように硬いとされています。魔法生物の売買、特にドラゴンの卵の取引は、1709年の魔法使い国際機密保持法によって固く禁じられています。ハグリッドが入手した卵が、物語における一連の出来事の引き金となりました。

• ルビウス・ハグリッド
  1. ノーバート（ノーベルタ）の育ての親であり、ハグリッドは母親のように愛情を注ぎました。彼の危険な魔法生物への深い愛情を象徴する存在です。
• チャーリー・ウィーズリー
  1. ドラゴン研究の専門家として、ノーベルタをルーマニアの保護区へ安全に移送し、その後の世話をしました。彼は後にノーベルタの性別を特定しました。
• ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー
  1. ハグリッドを助けるためにノーバートの孵化から移送まで深く関わりました。この経験は、彼らの友情と困難に立ち向かう勇気を試す初期の重要な試練の一つとなりました。

• Norwegian Ridgeback
  1. Norwegian は、このドラゴンが原産地とする国、ノルウェー (Norway) を指します。
  2. Ridgeback は、その最も特徴的な身体的特徴である背中の「隆起（Ridge）」と「背中（Back）」を組み合わせたものです。名前全体で「ノルウェー産の、背中に隆起のあるもの」という意味になります。

• 『幻の動物とその生息地』(Fantastic Beasts and Where to Find Them) の記述によれば、ノルウェー・リッジバック種は陸生の大型哺乳類だけでなく、水中に住む生物をも捕食するという、ドラゴンとしては珍しい食性を持つとされています。
• 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』では、CGによってノーバートの孵化から成長する様子が視覚的に描かれました。