フォークス (Fawkes) は、アルバス・ダンブルドアが飼っていた、非常に知性的で忠実な不死鳥です。物語を通じて、彼はダンブルドアだけでなく、ダンブルドアに深い忠誠心を示すハリー・ポッターにとっても重要な助け手として登場します。フォークスの癒しの涙、再生能力、そして驚異的な力は、幾度となくハリーを死の淵から救いました。彼はダンブルドアの純粋な精神と希望の象徴的存在です。
フォークスの物語における役割は、重要な局面で決定的な介入をすることに集約されます。
フォークスは、トム・リドルの日記によって操られたジニー・ウィーズリーを救うため、秘密の部屋でバジリスクと対峙するハリー・ポッターのもとへ現れました。彼はまず組分け帽子をハリーに届け、その中からグリフィンドールの剣が出現するきっかけを作りました。戦闘中、フォークスはバジリスクの両目を爪で突き、その致死的な視線を無力化させました。バジリスクの牙によって致命傷を負ったハリーを、その癒しの涙で完治させ、最後にはハリー、ロン・ウィーズリー、ジニー、そしてギルデロイ・ロックハートの4人を掴んで部屋から運び出しました。
ハリーの杖とヴォルデモート卿の杖が、芯にフォークスの同じ尾羽根を共有する「兄弟杖」であることが明かされます。このため、リトル・ハングルトンの墓場での決闘中にプライオア・インカンタート(逆呪文効果)が発生しました。決闘の最中、フォークスの歌声が響き渡り、それはハリーにとって希望のしるしとなりました。
フォークスは不死鳥の騎士団のメンバー間のメッセージを運ぶ伝書鳥の役割を果たしました。また、物語のクライマックスである魔法省神秘部での戦いにおいて、ヴォルデモートがアルバス・ダンブルドアに向けて放ったアバダ・ケダブラの呪いを、身を挺して飲み込みました。彼は一瞬で燃え上がりましたが、すぐに灰の中から雛として生まれ変わりました。
アルバス・ダンブルドアが亡くなった後、フォークスはホグワーツの敷地内に悲しみに満ちた「不死鳥の嘆き」を響かせました。主を失った後、彼はホグワーツを去り、二度と姿を現すことはありませんでした。
フォークスは白鳥ほどの大きさの鳥で、その羽根は深紅(緋色)、尾と爪と嘴は金色に輝いています。「燃え尽きる日」が近づくと、羽根が抜け落ち、しわがれた老鳥のような姿になります。 性格は極めて知的で、飼い主であるアルバス・ダンブルドアに対して絶対的な忠誠心を持っています。彼は誇り高く、気高い生き物ですが、ダンブルドアやハリーに対しては深い愛情を示し、その存在は安心感と希望を与えます。
不死鳥として、フォークスは多くの強力な魔法特性を備えています。
フォークス (Fawkes) という名前は、1605年にイギリスで発生した「火薬陰謀事件 (Gunpowder Plot)」の中心人物であるガイ・フォークス (Guy Fawkes) に由来します。この名前は、炎、爆発、そして権威への反逆といったテーマを連想させ、不死鳥の騎士団の活動やダンブルドアの性格と響き合っています。