* タイプ (Type): 魔法道具、通信装置 * 所有者 (Owners): ダンブルドア軍団のメンバー * 制作者 (Maker): ハーマイオニー・グレンジャー
秘密の金貨は、見た目は通常の魔法界の通貨であるガリオン金貨と全く見分けがつかない。しかし、硬貨の縁に通常刻まれているゴブリンの製造番号の代わりに、自在に変更可能な数字が表示されるようになっている。この数字が、次回のダンブルドア軍団の会合の日時を示すという、メンバー間の秘密の合図として機能した。
この金貨の核心的な魔法は、ハーマイオニー・グレンジャーがかけた非常に高度な「千変万化の呪文 (Protean Charm)」である。この呪文により、すべての金貨が魔法的に連携している。 リーダーであるハリー・ポッターが自身の持つ一枚の金貨の数字を変更すると、他のメンバーが持つすべての金貨の数字が瞬時に、そして自動的に同じ表示に変わる。さらに、数字が変更されると金貨が熱を帯びる仕組みになっており、これにより所有者はポケットの中にあってもメッセージの更新に気づくことができる。 ハーマイオニーはこのアイデアを、ヴォルデモート卿が死喰い人を召集するために用いる闇の印から着想を得たと語っている。彼女は、邪悪な目的で使われた強力な魔法のコンセプトを、善のために応用したのである。
この金貨は、1995年から1996年のホグワーツ魔法魔術学校の学年度に、ハーマイオニー・グレンジャーによって作成された。 当時、魔法省から派遣されたドローレス・アンブリッジが「ホグワーツ上級尋問官」として学校のあらゆる活動を厳しく監視しており、生徒による自主的なグループ活動は禁止されていた。この金貨は、アンブリッジや彼女が組織した尋問官親衛隊の監視の目をかいくぐり、ダンブルドア軍団のメンバーに安全かつ秘密裏に会合の情報を伝達するための、独創的な手段として考案された。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』 * ダンブルドア軍団 (D.A.) の組織運営に不可欠な道具として機能した。この巧妙な通信システムのおかげで、D.A.は必要の部屋でアンブリッジに気づかれることなく秘密の訓練を続けることができた。このシステムは、メンバーの一人であるマリエッタ・エッジコムがアンブリッジに密告するまで完璧に機能した。 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 * 物語の終盤、アストロノミーの塔の戦いで死喰い人がホグワーツに侵入した際、ハリーは自身の金貨を使ってD.A.のメンバーに助けを求めた。この呼びかけに応じ、ネビル・ロングボトムやルナ・ラブグッドなどが駆けつけ、不死鳥の騎士団と共に戦った。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』 * ヴォルデモートが魔法界を支配下に置いた後、ホグワーツに残ったネビル・ロングボトム、ジニー・ウィーズリー、ルナ・ラブグッドがD.A.を再結成し、この金貨を再び抵抗活動の連絡手段として使用した。 * 最終盤のホグワーツの戦いの直前、ネビルはこの金貨を使い、ハリーがホグワーツに戻ったことをD.A.のメンバー全員に知らせた。これが、最終決戦のために仲間を集結させる重要な合図となった。
* 「千変万化の呪文」は、N.E.W.T. (いもり) レベルの非常に高度な魔法であり、これを15歳の時点で完璧に使いこなしたことは、ハーマイオニー・グレンジャーの並外れた魔法の才能を示す一例である。 * 映画版『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』でもこの金貨は登場するが、その仕組みや「千変万化の呪文」に関する詳細な説明は省略されている。(映画設定)