ブラッジャー

  • タイプ (Type): クィディッチ用のボール
  • 所有者 (Owners): クィディッチの試合用具一式の一部であり、特定の個人所有物ではない
  • 製造者 (Maker): 不明(鉄製)

ブラッジャーは、魔法界で最も人気のあるスポーツ、クィディッチで使用される3種類のボールのうちの1つである。試合では常に2個1組で用いられる。 外見は、直径10インチ(約25.4cm)の真っ黒な鉄の塊であり、ジェット機のように猛烈な速さで空中を飛び回る。その重さと速度から、選手にとって非常に危険な存在となっている。

ブラッジャーには、最も近くにいる選手を無差別に攻撃し、から叩き落とそうとする魔法がかけられている。チームの区別なく選手を追尾するため、クィディッチの試合における最も危険な要素となっている。 各チームに2人ずついるビーター (Beater) と呼ばれる選手が、頑丈なバットを使ってブラッジャーを打ち返し、味方の選手を守りつつ、相手チームの選手を狙うのが主な役割である。ブラッジャーを素手で触れることは極めて危険であり、試合開始前に審判が箱から放つ際には、細心の注意が払われる。

ブラッジャーの具体的な製造史や起源に関する詳細は本編では語られていないが、クィディッチというスポーツの創設当初から、その危険な役割を担ってきたと考えられる。試合用具として、クアッフルゴールデンスニッチと共に、厳重に管理された箱に保管されている。

ブラッジャーは、クィディッチの試合の激しさと危険性を象徴する存在として、シリーズを通じて描かれている。 特に『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、物語の重要な鍵を握る。屋敷しもべ妖精ドビーハリー・ポッターホグワーツから追い出すために、1つのブラッジャーに強力な魔法をかけた。この「ならずものブラッジャー (Rogue Bludger)」は、グリフィンドールスリザリンの試合中、他の選手を完全に無視してハリーだけを執拗に追い続けた。最終的にハリーの腕を骨折させたが、ハリーはそれでもゴールデンスニッチを捕まえ、チームを勝利に導いた。この事件は、ドビーのハリーに対する歪んだ守護欲求を読者に示す最初の大きな出来事となり、また、骨折した腕を治療しようとしたギルデロイ・ロックハートの失態にも繋がった。 フレッド・ウィーズリージョージ・ウィーズリーは、グリフィンドールの優れたビーターとして、幾度となくブラッジャーからハリーを守り、その腕前を披露した。

  • J.K. ローリングの補充テキスト『クィディッチ今昔』によると、ブラッジャーの原型は12世紀に使われ始めた「ブラッダー (Blooders)」と呼ばれる、魔法をかけられた飛石であった。当時のビーターは、現在のようなバットではなく、強化された棍棒でこれを打ち返していた。(クィディッチ今昔
  • 映画版では、ブラッジャーの破壊力とスピードがCGによって視覚的に強調されており、観客にその脅威を強く印象付けている。(映画設定)