呪文学の廊下

呪文学の廊下は、ホグワーツ城の3階に位置する廊下の一つです。その名の通り、呪文学の教室へと通じています。この廊下は、特にハリー・ポッターの1年次に起きた重要な出来事の舞台となりました。 1991年のハロウィーンの日、クィリナス・クィレル教授がヴォルデモート卿の命令で城内にトロールを侵入させました。当初、トロールは地下牢にいると報告されましたが、実際にはこの3階の廊下を徘徊していました。当時、ロン・ウィーズリーとの口論の末に女子トイレに引きこもっていたハーマイオニー・グレンジャーを助けるため、ハリー・ポッターロン・ウィーズリーはこの廊下へ向かいました。 彼らはトロールがハーマイオニーのいる女子トイレに入っていくのを目撃し、彼女を救うためにトロールと対峙しました。最終的に、ロンが呪文学の授業で習ったばかりの浮遊呪文ウィンガーディアム・レヴィオーサ)を使い、トロール自身のこん棒を浮かせ、その頭上に落として気絶させることに成功しました。この出来事は、3人の間に固い友情が芽生える決定的なきっかけとなりました。

この廊下は、『ハリー・ポッターと賢者の石』において、物語の極めて重要な転換点となる舞台です。

  • 友情の形成: トロールとの共同戦線は、それまでぎくしゃくしていたハリーロンハーマイオニーの関係を決定的に変えました。共通の危険を乗り越え、互いを守るために教授たちに嘘をついたことで、彼らは生涯にわたる親友となりました。この「三人組(ゴールデン・トリオ)」の誕生の地として、この廊下は象徴的な意味を持っています。
  • 学んだ魔法の実践: フリットウィック教授の授業で学んだ浮遊呪文が、即座に実戦で役立つことを示した場所でもあります。これは、ホグワーツでの学びが単なる知識ではなく、命を救うための実践的なスキルであることを読者に示す最初の重要な例です。
  • 伏線: トロールの侵入事件は、クィレル教授が城の防衛を試すために引き起こしたものであり、賢者の石を巡るより大きな陰謀の一部でした。この廊下での出来事は、物語の核心に迫る最初のステップの一つと言えます。
  • 映画版での描写: 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』では、トロールとの戦いの大部分は女子トイレの内部で繰り広げられます。廊下は主にトイレへの導入部分として登場し、原作ほど戦闘の主舞台としては描かれていません。また、映画における女子トイレのデザインは非常に広大で装飾的ですが、これは映画的な演出です。(映画設定)