ハリー・ポッターの杖

ハリー・ポッターの杖は、彼が11歳の時にダイアゴン横丁にあるオリバンダーの店で購入した、彼にとって初めての、そして唯一無二の杖です。その仕様は以下の通りです。

  • 長さ (Length): 11インチ (約28cm)
  • 材質 (Wood): ヒイラギ (Holly)
  • 芯 (Core): 不死鳥の羽根 (Phoenix Feather)
  • 柔軟性 (Flexibility): 「素晴らしくしなやか (nice and supple)」

この杖の芯に使われた羽根は、アルバス・ダンブルドアが飼っていた不死鳥のフォーカスから得られたものです。特筆すべきは、フォーカスが与えた尾羽根はもう1本しかなく、その羽根はヴォルデモート卿の杖の芯として使われていることです。このため、ハリーの杖とヴォルデモートの杖は「兄弟杖」という極めて稀な関係にあります。

ハリーの杖は、その所有者との強い結びつきと、兄弟杖との関係性から、数多くのユニークな魔法特性を示しました。

ハリー・ポッターの杖は単なる魔法の道具ではありません。それはハリーの魔法界におけるアイデンティティの象徴であり、物語の核心的なプロットデバイスとして機能しました。

  • 運命の象徴: 杖がハリーを選んだこと、そしてそれが宿敵ヴォルデモートの杖と兄弟杖であったことは、二人の間の深く、逃れられない運命的な繋がりを象徴しています。
  • 物語の謎を解く鍵: なぜヴォルデモートがハリーを殺せないのか、というシリーズ全体の大きな謎の答えは、この兄弟杖の関係性にありました。これにより、ヴォルデモートはハリーを殺害するためにニワトコの杖を追い求めることになります。
  • ハリーの成長の証: 物語の最後に、ハリーが最強のニワトコの杖を手放し、自分の忠実なヒイラギの杖を修復して選んだことは、彼が絶対的な力を求めるのではなく、自分らしさと正しい道を重んじる成熟した魔法使いへと成長したことを示しています。
  • 杖の木の象徴: ヒイラギ (Holly) は、ケルトの樹木暦において、ハリーの誕生月(7月)に対応する木の一つとされています。伝統的に、ヒイラギは保護、特に邪悪なものからの保護を象徴する木とされており、ハリーの役割と運命を暗示しています。(Pottermore)
  • 映画版でのデザイン: 映画版では、ハリーの杖は原作のシンプルな記述とは異なり、樹皮のような質感を持つ、より自然で素朴なデザインとして描かれています。特に持ち手部分は、木の枝がそのまま使われたような独特の形状をしています。(映画設定)