オリバンダーの店
基本情報
- 所有者 / 居民 (Owner/Residents): オリバンダー家 (主にギャリック・オリバンダー)
- 重要特徴 (Key Features): 紀元前382年創業の歴史を持つ高級杖メーカー。「杖が魔法使いを選ぶ」という独自の哲学で知られる。
描写と歴史
オリバンダーの店は、ダイアゴン横丁に位置する、小さくみすぼらしい外観の魔杖専門店です。店の正面には、金色の剥げかけた文字で「オリバンダー:紀元前382年創業、高級杖メーカー」と書かれた看板が掲げられています。ショーウィンドウには、色あせた紫色のクッションの上に一本の杖が飾られているだけで、店内は薄暗く、埃っぽい雰囲気が漂っています。 店内は非常に狭く、壁際には天井まで届くほどの膨大な数の細長い箱が整然と積み上げられています。これらの箱には、一本一本異なる魔杖が収められています。 この店は、ローマ人がブリテン島を支配していた時代から続くオリバンダー家によって代々経営されてきました。特に、20世紀中頃に店を継いだギャリック・オリバンダーは、杖の芯材としてユニコーンの毛、ドラゴンの心臓の琴線、そして不死鳥の羽根という三種類の強力な魔法素材のみを使用し、それぞれの杖に最適な魔法使いを見出すという画期的な手法を確立しました。この「杖が魔法使いを選ぶ」という考え方は、彼の店をイギリスで最も優れた杖店としての地位に押し上げました。
物語における役割
- ハリー・ポッターと賢者の石: 11歳のハリー・ポッターが初めて自身の魔杖を手に入れる場所として登場します。多くの杖を試した後、彼は不死鳥の羽根を芯材とする杖に選ばれます。この羽根が、ヴォルデモート卿の杖の芯と同じ不死鳥から提供されたものであることが判明し、二人の間に存在する宿命的な繋がりを象徴する重要な出来事となりました。
- ハリー・ポッターと謎のプリンス: 第二次魔法戦争が激化する中、店は板で固く打ち付けられ、もぬけの殻となっていました。店主のギャリック・オリバンダーが死喰い人によって誘拐されたことが示唆され、魔法界に広がる闇の脅威を象徴する光景となりました。
既知の区域
- 店舗エリア (Shop Area): 顧客が杖を選び、購入するための主要な空間。ギャリック・オリバンダーがここで顧客に応対し、最適な杖を見立てます。
- 倉庫 / 作業場 (Storage / Workshop): 店舗の奥に位置し、膨大な数の完成した魔杖や杖の材料が保管されていると考えられるエリア。作中では直接描かれていませんが、その存在が強く示唆されています。
舞台裏情報
- 映画版では、オリバンダーの店の内部は、原作の描写をさらに発展させ、迷路のように入り組んだ棚に無数の杖の箱が混沌としながらも魔法的に整理されている、視覚的に印象深い空間として描かれています。(映画設定)
- 「オリバンダー (Ollivander)」という名前は、「オリーブの杖を持つ者 (he who owns the olive wand)」を意味します。オリーブは平和と知恵の象徴であり、作者J.K.ローリングによれば、破壊的な力を持つ道具を扱う彼の穏やかな性質を反映した名前であるとされています。(Pottermore)