ハリー・ポッター映画シリーズ
概要
「ハリー・ポッター」映画シリーズは、J・K・ローリングによる全7巻の小説シリーズ『ハリー・ポッター』を原作とし、ワーナー・ブラザースが製作・配給した一連の映画作品群である。2001年から2011年にかけて、最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』を前後編に分けた全8作が公開された。 このシリーズは、ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター役)、ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー役)、エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー役)を主役に迎え、世界的な興行収入記録を樹立した史上最も成功した映画シリーズの一つである。原作の世界観を忠実に映像化しようと試みているが、物語の簡略化や独自の演出など、原作小説とは異なる独自の連続性(カノン)を持つ。(映画設定)
作品一覧
- ハリー・ポッターと賢者の石 (2001年)
- ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2002年)
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004年)
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット (2005年)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (2007年)
- ハリー・ポッターと謎のプリンス (2009年)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (2010年)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 (2011年)
製作背景
- 製作: 全作品を通じてデイビッド・ヘイマンがプロデューサーを務めた。
- 原作者の関与: J・K・ローリングは製作プロセスに深く関与し、脚本の監修や、主要キャストをイギリス人俳優に限定するなどの創造的なコントロールを保持した。
- 監督: シリーズを通して4人の監督がメガホンを取った。
- クリス・コロンバス (1、2作目)
- アルフォンソ・キュアロン (3作目)
- マイク・ニューウェル (4作目)
- デイビッド・イェーツ (5作目から8作目)
原作との主な相違点
映画シリーズは上映時間の制約から、原作の多くの要素を省略・変更している。以下に代表的なものを挙げる。
- 物語の簡略化: ハーマイオニー・グレンジャーが設立した屋敷しもべ妖精解放戦線 (S.P.E.W.) の活動、マローダーズの過去に関する詳細な説明、トム・リドルの母方の家系であるゴーンント家の歴史などが大幅に省略または簡略化されている。
- キャラクター描写の変更: ロン・ウィーズリーの機知に富んだ発言や勇敢な行動の一部がハーマイオニー・グレンジャーに割り当てられる傾向がある。また、ジニー・ウィーズリーの人物像の掘り下げが原作に比べて少ない。(映画設定)
- 映画オリジナルの場面: 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で死喰い人が隠れ穴を襲撃するシーンや、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』でハリーとハーマイオニーがテントの中で踊るシーンなど、原作には存在しない場面が追加されている。(映画オリジナル設定)
評価と影響
- 商業的成功: 本シリーズは世界中で空前のヒットを記録し、映画史における興行収入の数々の記録を塗り替えた。
- 批評的評価: シリーズ全体として批評家から高い評価を得ており、特にアルフォンソ・キュアロンが監督した3作目や、シリーズの完結編である8作目は芸術性の面でも称賛された。
- 文化的影響: 映画シリーズは「魔法ワールド」の視覚的イメージを決定づけ、世界中のファンにとっての共通認識を形成した。また、この成功はテーマパーク「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」の建設や、スピンオフシリーズである『ファンタスティック・ビースト』の製作へと繋がった。
幕後情報
- タイトルの変更: 第1作目の原題 Harry Potter and the Philosopher's Stone は、アメリカ市場向けに Harry Potter and the Sorcerer's Stone へと変更された。