ポートキー (移動キー)
基本情報
記述と外観
ポートキーは、特定の時間に特定の場所へ一人または複数の人間を移動させるために魔法をかけられた、ごくありふれた物体です。その目的は、マグルの注意を引かないようにすることであり、そのため意図的にみすぼらしく、誰も拾い上げようとは思わないようなガラクタが選ばれます。 作中に登場したポートキーには、以下のようなものがあります。
- 古びたブーツ (a battered old boot)
- 黒焦げになったやかん (a blackened kettle)
- しわくちゃのポテトチップの袋 (a crumpled crisp packet)
- 三大魔法学校対抗試合の優勝杯 (the Triwizard Cup)
ポートキーは起動するまで、魔法がかけられていることを示す外見的な特徴を一切持ちません。
魔法の特性と用途
ポートキーの主な機能は、長距離を瞬時に移動することです。使用者はあらかじめ定められた時間にポートキーに触れる必要があります。起動すると、使用者はへその奥を巨大な鉤で引っ掛けられるような猛烈な力を感じ、目的地まで色と音の渦の中を引きずられるように移動します。着地はしばしば荒々しく、地面に叩きつけられることも少なくありません。
- 作成と規制: ポートキーの作成には「ポータイラス」という呪文が用いられます。無許可での作成は固く禁じられており、すべてのポートキーは魔法省の魔法運輸部、特にポートキー局によって厳格に管理・認可されなければなりません。クィディッチ・ワールドカップのような大規模イベントの際には、多数のポートキーが時間差で起動するように設置されます。
- 起動方法:
- 時間指定型: 事前に設定された時刻になると自動的に起動する。ワールドカップへの移動で使用されたブーツがこのタイプです。
- 接触起動型: 触れた瞬間に起動する。三大魔法学校対抗試合の優勝杯がこのタイプに改造されていました。
歴史
ポートキーの起源は作中で詳しく語られていませんが、魔法界において確立され、正式に認可された移動手段の一つとして描かれています。特に、姿現わし (Apparition) ができない未成年の魔法使いや、大勢の人間を一度に移動させる必要がある場合に重宝されます。 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で初めて登場し、物語の重要な転換点で中心的な役割を果たしました。当初は便利な移動手段として紹介されますが、後にヴォルデモート卿の復活という恐ろしい陰謀の道具として利用され、その危険性も示唆されました。
物語における役割
ポートキーは物語の中で、特に重要なプロットデバイスとして機能します。
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- 物語のクライマックスで、三大魔法学校対抗試合の優勝杯がバーテミウス・クラウチ・ジュニアによってポートキーに改造されていたことが判明します。これにより、ハリーとセドリック・ディゴリーはリトル・ハングルの墓地へと強制的に移動させられ、ヴォルデモート卿の復活に直面しました。この出来事は、セドリックの死と第二次魔法戦争の始まりを告げる引き金となりました。
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- 魔法省での戦いの後、アルバス・ダンブルドアは即座にポートキー(黒焦げのやかん)を作成し、ハリーとウィーズリー家の子供たちをグリモールド・プレイス十二番地へ送り返しました。これは、ダンブルドアの卓越した魔法能力と、緊急時に規則を超えて行動できる権威を示しています。
- また、ヴォルデモートとの決闘後、ダンブルドアは石像の頭をポートキーに変え、ハリーを校長室へ送り返しました。
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- 「七人のポッター」作戦において、不死鳥の騎士団のメンバーは、ハリーを安全な場所へ移動させるための手段として、複数のポートキーを準備していました。
名前の語源
「ポートキー (Portkey)」という名前は、ラテン語の portare(「運ぶ」を意味する)と、英語の key(「鍵」や「解法」を意味する)を組み合わせたものと考えられます。文字通り「場所を移動するための鍵」という意味合いを持っています。