モグラの皮のオーバーコート

• タイプ (Type): 魔法の道具 (衣服)
• 所有者 (Owners): ルビウス・ハグリッド
• 製造者 (Maker): 不明

モグラの皮のオーバーコートは、ルビウス・ハグリッドが常に身につけている、彼の体格に合わせた非常に大きな黒いオーバーコートです。その最も顕著な特徴は、内外に無数についているポケットであり、原著では「何十個ものポケットがある」と描写されています。 ハグリッドの半巨人という大きな体躯を覆うサイズでありながら、実用性を重視したつくりになっています。その外観はハグリッドのトレードマークの一つとして、物語の最初から最後まで一貫して登場します。

このオーバーコートのポケットには、その物理的な大きさをはるかに超える容量を持っていることが強く示唆されています。これは無限に伸びる呪文 (Undetectable Extension Charm) がかけられている可能性が非常に高いことを意味します。ハグリッドは必要に応じて、このポケットからありとあらゆるものを取り出します。 物語中でポケットから取り出された主な物品には以下のようなものがあります。

• ハリー・ポッターへの少し潰れた誕生日ケーキ
• ヘドウィグが入った鳥かご
• 銅のやかん、火かき棒、マグカップ、ソーセージ
• グリフィンドールの剣を包んでいた布
• 守りの巻物で包まれた賢者の石
• ノルウェー・リッジバック種のドラゴンの卵 (ノーバート)
• カビの生えた犬用ビスケット
• 彼の傘 (壊れた杖の破片が隠されている)

このコートは、ハグリッドにとって移動式の道具箱兼倉庫のような役割を果たしており、彼の禁じられた森での仕事やアルバス・ダンブルドアから与えられた任務を遂行する上で不可欠な装備です。

このオーバーコートの製造者やハグリッドがどのようにして手に入れたかについての具体的な歴史は不明です。しかし、物語の第一章で赤ん坊のハリー・ポッターをダーズリー家に届けたときから、ハグリッドがこのコートを着用していることが確認できます。 シリーズを通してハグリッドの所有物であり続け、彼の質実剛健で、時に混沌としているが常に準備を怠らない性格を象徴するアイテムとなっています。

このオーバーコートは、単なる衣服以上の役割を果たします。物語の初期において、それは魔法界の不思議さと便利さを象徴する道具として機能しました。ハグリッドがそのポケットから次々と驚くべきものを取り出す場面は、ハリーと読者に魔法の存在を強く印象づけました。 特に重要なのは、『ハリー・ポッターと賢者の石』において、ハグリッドがグリンゴッツの金庫から回収した賢者の石をこのコートのポケットに入れて運んだことです。このコートは、物語の鍵となる重要アイテムを安全に保管・運搬する上で決定的な役割を果たしました。

ハグリッドがハリーの17歳の誕生日に贈ったモグラの皮の小袋は、このオーバーコートのポケットと非常によく似た魔法特性を持っています。その小袋には無限に伸びる呪文がかけられており、「呼び寄せ呪文」が効かないという特徴がありました。このことから、ハグリッドのオーバーコートのポケットにも同様の、あるいはそれ以上の保護魔法がかけられていると推測されます。