偽りの記憶
魔法の基本情報
* 関連する呪文 (Related Incantation): オブリビエイト (Obliviate) など。偽りの記憶を植え付けるための特定の呪文は明確にされていないが、記憶呪文の高度な応用形である。 * 手の動き (Wand Movement): 不明 * 光の色 (Light Color): 不明(ただし、関連する記憶呪文では緑色の光が確認されている) * 効果 (Effect): 対象の心に、実際に起きていない出来事の記憶を植え付け、あるいは既存の記憶を改変する。対象者はそれを自分自身の本物の体験として信じ込む。 * 分類 (Type): 魔咒 (Charm)、闇の魔術
既知の用途と歴史
偽りの記憶を植え付ける魔法は、極めて高度で強力な魔術であり、作中では主に他者を欺き、犯罪を隠蔽するために使用された。
- トム・マールヴォロ・リドルによる使用: ヴォルデモート卿はこの魔法に非常に長けており、自身の犯した殺人の罪を他者になすりつけるために複数回使用した。
- モーフィン・ゴーントへの使用: リドル家を殺害した後、トム・リドルは叔父であるモーフィン・ゴーントの記憶を改竄した。モーフィンは自分が殺人を犯したという偽りの記憶を植え付けられ、その「自白」によってアズカバンに収監された。
- ホキーへの使用: ヘプジバ・スミスを殺害し、ヘルガ・ハッフルパフのカップとサラザール・スリザリンのロケットを盗んだ際、トム・リドルは年老いた屋敷しもべ妖精のホキーに、誤って女主人を毒殺してしまったという偽りの記憶を植え付けた。
- ホラス・スラグホーンによる自己防衛:
- ホラス・スラグホーンは、若き日のトム・リドルに分霊箱 (Horcrux) について教えたという重大な記憶を、罪悪感と恐怖から自分自身で改竄した。アルバス・ダンブルドアがその記憶を憂いの篩 (Pensieve) でハリー・ポッターに見せた際、重要な部分が濃い白い霧に覆われ、声が聞き取れなくなっており、非常に稚拙な改竄であることが露呈した。後にハリー・ポッターの説得により、スラグホーンは本物の記憶を提供した。
学習と対抗策
偽りの記憶を植え付ける魔法は、単に記憶を消去する記憶呪文よりもはるかに高度で難しいとされる。これを実行できるのは、トム・マールヴォロ・リドルやホラス・スラグホーンのような、極めて強力で熟練した魔法使いに限られる。 偽りの記憶や改竄された記憶は、アルバス・ダンブルドアのような非常に優れた魔法使いには見破られる可能性がある。スラグホーンの記憶は「稚拙な改竄」と評された。また、非常に強力な開心術 (Legilimency) や拷問のような極端な手段を用いることで、改竄された記憶の奥にある真実を引き出すことができる場合がある。ヴォルデモートはバーサ・ジョーキンズにかけられていた強力な記憶呪文を拷問によって破り、隠されていた情報を引き出した。
名前の由来
この魔法の名称は、その効果を直接的に説明している。「偽り (false)」の「記憶 (memory)」を作り出すことから名付けられている。特定の呪文の語源とは異なる。
幕後情報
- 映画版『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、ホラス・スラグホーンが改竄した記憶は、視覚的に白黒で、重要な部分が霧で覆われ、音声が歪む演出で表現されており、原作の描写を忠実に映像化している。(映画設定)