姿くらまし (Apparition)
基本情報
原理と実践:3つのD
「姿くらまし」を成功させるためには、術者は 3つのD として知られる要素に完全に集中しなければならない。これはホグワーツ魔法魔術学校で教えられる際の基本原則である。
- 目的地 (Destination): 行きたい場所を心の中で明確に、断固として思い描く。
- 決意 (Determination): その空間を占めるという確固たる意志を持つ。
- 沈着 (Deliberation): 焦らず、冷静に、慎重に移動を実行する。
これら3つの要素のいずれかが欠けても、「姿くらまし」は失敗する可能性が高い。特に決意が不十分な場合、最も危険な副作用である 身割れ (Splinching) を引き起こすことがある。これは、身体の一部が元の場所に置き去りにされてしまう現象である。
学習とライセンス
「姿くらまし」は高度で危険な魔法と見なされており、イギリス魔法省の厳格な管理下にある。
- 学習: ホグワーツでは、生徒が成人と見なされる17歳になる年度に、魔法省から派遣された専門の教官による「姿くらまし教室」が開催される。
現象と感覚
「姿くらまし」の実行には、特有の物理的感覚と音が伴う。
- 感覚: 多くの術者が、非常に窮屈なゴムチューブの中を無理やり押し込まれるような、不快な圧迫感と表現している。
- 音: 術者が姿を消したり現したりする際には、しばしば「ポン!」という大きな破裂音(Crack)が伴う。ただし、アルバス・ダンブルドアのような極めて熟練した術者は、ほとんど音を立てずに移動することができる。
制限と対抗策
「姿くらまし」は万能ではなく、いくつかの重要な制限が存在する。
- 距離: 術者がよく知らない場所や、非常に遠い距離への「姿くらまし」は困難かつ危険である。大陸間のような長距離移動は不可能に近いとされる。
物語における役割
「姿くらまし」は物語全体を通じて、登場人物たちの移動手段として、また重要なプロットデバイスとして頻繁に登場する。
- 移動手段として: 第二次魔法戦争が激化するにつれ、不死鳥の騎士団のメンバーやハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの3人組は、死喰い人から逃れるための主要な移動手段として「姿くらまし」に頼った。
幕後情報
- 映画での描写 (映画設定): 映画シリーズでは、「姿くらまし」は術者が黒い煙や白い光の渦となって消え、再び現れるという視覚効果で表現されることが多い。特に死喰い人は、威嚇的な黒い煙となって高速で飛行するように描かれるが、これは原作にはない映画独自の演出である。