イギリス魔法省
基本情報
記述と歴史
イギリス魔法省は、イギリスおよびアイルランドにおける魔法界の統治を行う政府機関です。その主な責務は、1692年に制定された国際魔法使い機密保持法を維持し、マグルの世界から魔法の存在を隠し続けることです。 魔法省の本部はロンドン中心部の地下深くに位置しており、地上とは完全に隔離されています。来訪者は、特定の電話ボックスに入り、コードをダイヤルすることで入館手続きを行います。職員の多くは、アトリウムに設置された暖炉を通じてフルーパウダーを使い通勤します。省の心臓部であるアトリウムは、天井が孔雀の羽のような青色で、金色のシンボルが動いています。中央には当初「魔法使い同胞の泉」と呼ばれる噴水像が設置されていましたが、ヴォルデモート卿の支配下では「魔法は力なり」というプロパガンダを体現する巨大な像に置き換えられました。 魔法省は1707年に、それ以前の統治組織であった「魔法使い評議会」に代わる形で設立されました。その歴史を通じて、魔法界の平和と秩序を維持する役割を担ってきましたが、官僚主義的で非効率な側面も描かれています。特に、コーネリウス・ファッジ大臣の時代には、ヴォルデモート卿の復活という事実から目を背け、ハリー・ポッターとアルバス・ダンブルドアを中傷するキャンペーンを展開しました。その後、ルーファス・スクリムジョールが大臣に就任し、第二次魔法戦争への備えを強化しましたが、1997年に死喰い人によって省は陥落。パイアス・シックネスが傀儡の大臣となり、魔法省はヴォルデモート卿の恐怖政治の道具と化しました。 第二次魔法戦争の終結後、キングズリー・シャックルボルトが魔法大臣となり、省の腐敗を一掃し、より公正で効率的な組織へと改革を進めました。
物語における役割
イギリス魔法省は、物語全体を通じて重要な役割を果たします。
- 対立と無能の象徴:『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、魔法省はヴォルデモート卿の復活を認めず、ハリー・ポッターの信頼性を貶めようとする主要な敵対勢力として機能します。ドローレス・アンブリッジのホグワーツへの派遣は、その最たる例です。
- 潜入と抵抗の対象:『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、ハリー、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの三人が、分霊箱の一つであるスリザリンのロケットを奪還するために厳重に警備された魔法省へ潜入します。この出来事は、ヴォルデモート卿の支配下で省が如何に抑圧的な機関に変貌したかを浮き彫りにしました。
既知の区域
魔法省は階層構造になっており、各階に異なる部門が配置されています。
幕後情報
- 映画版では、職員がトイレの便器を通じて通勤するという描写がありますが、これは映画独自の演出であり、原作には存在しません。(映画設定)
- 公式サイト「Pottermore」(現在の「Wizarding World」)では、歴代の魔法大臣に関する詳細な情報や、魔法省の設立に関するより深い歴史が明らかにされています。(Pottermore)