魔法使い評議会
概要
魔法使い評議会 (Wizards' Council) は、1707年に魔法省が設立される以前に、英国の魔法社会を統治していた機関です。後の魔法省と比較すると、その組織構造は緩やかで、権限の行使においても一貫性に欠けていたとされています。その主な役割は、魔法界の法律を制定し、秩序を維持することでした。
歴史
評議会の歴史は中世にまで遡り、その活動の断片がいくつかの歴史的記録に残されています。
- 1269年: 当時の議長であったバーベラス・ブラッグが、クィディッチの試合に賭け金150ガリオンをかけてゴールデン・スニジェットを放ち、捕まえた選手に賞金を与えるという出来事がありました。この一件は、後にクィディッチにゴールデン・スニッチが導入されるきっかけとなりました。(出典:『クィディッチ今昔』)
- 1750年: 人間の言葉を話す能力を持つすべての魔法生物を「存在」(“Beings”) と分類する重要な決議を可決しました。(出典:『幻の動物とその生息地』)
機能と構造
魔法使い評議会は、現代の魔法省が持つ機能の原型を備えていました。
- 統治と立法: 魔法界における法律の制定や、魔法生物の分類など、社会の根幹に関わる決定を行っていました。
- 司法: 魔法使い間の争いや規則違反に対する裁定を下す役割も担っていたと考えられています。
- 組織構造:
- 最高責任者は 魔法使い評議会議長 (Chief of the Wizards' Council) と呼ばれていました。バーベラス・ブラッグがその一例です。
魔法省への移行
17世紀末、魔法界は大きな転換期を迎えました。1692年に「国際魔法使い機密保持法」が制定されると、魔法社会をマグルの目から完全に隠すための、より強力で効率的な中央集権体制が必要不可欠となりました。 魔法使い評議会ではこの重大な責務を果たすことが困難であると判断され、1707年に解体・再編される形で、より近代的な行政組織である魔法省が設立されました。初代魔法大臣には、ユーリック・ガンプが就任しました。(Pottermore)
言及と矛盾点
魔法使い評議会に関する記述の多くは、『ハリー・ポッターと賢者の石』から『ハリー・ポッターと死の秘宝』までの小説本編ではなく、関連書籍や公式サイトに見られます。 特筆すべき点として、『幻の動物とその生息地』では、評議会が1750年に決議を行ったと記述されています。これは、魔法省が1707年に設立されたという他の公式情報(Pottermore)と明確に矛盾しています。この年代の不一致は、ハリー・ポッターの魔法史における数少ない設定上の矛盾点の一つとして知られています。