クサカゲロウ

クサカゲロウは、緑色で繊細な翅を持つ小型の昆虫です。魔法薬の材料として使用される際は、通常乾燥させた状態で保存されています。その名前は現実世界に存在するアミメカゲロウ目の昆虫に由来しており、魔法界のクサカゲロウも同様の外見を持つと考えられます。 この材料は、セブルス・スネイプ教授の個人薬品棚のような、十分に管理された場所に保管されている基本的ながらも重要な魔法薬の材料の一つです。

クサカゲロウの最も重要かつ有名な用途は、飲む者に他人の姿へ一時的に変身する能力を与える極めて高度な変身薬、ポリジュース薬の必須材料であることです。 ポリジュース薬を調合する過程において、クサカゲロウは21日間煮込む必要があります。この長い準備期間は、ポリジュース薬の調合が複雑で時間のかかる作業である理由の一つです。この工程を経なければ、薬は正しく完成しません。クサカゲロウが変身効果にどのように寄与するかの正確な魔法的原理は不明ですが、身体的変化を促すための触媒的な役割を担っていると推測されます。

クサカゲロウは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において、物語の重要な転換点で中心的な役割を果たします。 ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人は、スリザリンの継承者の正体を探るため、ポリジュース薬を秘密裏に調合することを計画します。ハーマイオニーが禁書の棚から借り出した『強力薬集』 (Moste Potente Potions) でレシピを調べた結果、クサカゲロウを含む複数の材料が必要であることが判明しました。 他の材料(バイコーンの角の粉ブームスラングの皮)は授業中の混乱に乗じて入手しましたが、クサカゲロウはハーマイオニーがスネイプ教授の個人薬品棚から直接盗み出すことで確保されました。この材料の入手と、それを21日間煮込むという時間的制約が、彼らの計画の進行ペースを決定づけ、クリスマスの時期に作戦が決行されることに繋がりました。

  • 現実世界の「クサカゲロウ」は、アミメカゲロウ目に属する昆虫の総称です。J.K. ローリングは、多くの魔法薬の材料に現実世界の動植物の名前を借用しており、これもその一例です。
  • ビデオゲーム『ホグワーツ・レガシー』では、プレイヤーがマップ上で採集できる一般的な魔法薬の材料として登場します。(ゲーム設定)