グール

グール (Ghoul) は、魔法生物の一種である。一般的には無害と見なされており、魔法使いの家の屋根裏や納屋に棲みつくことがある。 外見は、ぬるぬるとした、出っ歯のオーガに似ていると描写されている。知性は高くないが、その存在は魔法使いの家庭ではしばしば黙認されている。

  • 魔法省分類: XX (無害/飼育可能)

グールは主にうめき声を上げたり、物を叩いたりして大きな音を立てる。危険な生物ではないが、その騒々しさから一種の厄介者と見なされることもある。しかし、ウィーズリー家のように、一種のペットや騒がしい同居人のように捉え、家に棲みつかせている家族も存在する。 魔法省には「グール機動隊 (Ghoul Task Force)」という部署が存在し、マグルの住居にグールが現れた際に駆除する任務を担っている。これは、グールが魔法界の存在をマグルに露見させるリスクがあるためである。また、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、パーシー・ウィーズリーがO.W.L.試験の科目として「グール学」について言及しており、ホグワーツ魔法魔術学校で学問の対象となっていることが示唆されている。

物語で最もよく知られているグールは、陋居の屋根裏に長年住み着いているウィーズリー家のグールである。

  • ウィーズリー家の同居人: このグールは、家族にとって騒々しいながらも慣れ親しんだ存在となっている。普段は屋根裏のパイプを叩いたり、うめき声を上げたりしている。
  • ロンの身代わり:ハリー・ポッターと死の秘宝』において、このグールは極めて重要な役割を果たした。ヴォルデモート卿の支配下にある魔法省からホラクラックス探しの旅に出るロン・ウィーズリーの不在を隠すため、彼の身代わりとなった。
    1. ロンの発案により、グールは魔法によって散花痘 (Spattergroit) という伝染病に罹って重病であるかのように変身させられた。
    2. ロンのパジャマを着て彼の部屋のベッドで過ごし、時折苦しそうなうめき声を上げることで、ロンが自宅で療養していると魔法省の役人や死喰い人に信じ込ませることに成功した。この偽装により、ウィーズリー家はロンの失踪について追及されずに済んだ。

「グール」という名前は、アラビア神話に登場する、砂漠に住む邪悪なジン(悪霊)の一種「グール」(アラビア語: غول‎, ghūl)に由来する。神話におけるグールは、旅人を襲って喰らう恐ろしい怪物として描かれるが、『ハリー・ポッター』の世界のグールは、それよりもはるかに無害で臆病な生物として設定されている。