チョコレート

• タイプ (Type): 魔法食物、治療薬
• 所有者 (Owners): 魔法ワールドで広く消費されている。特にレムス・ルーピンやマダム・ポンフリーが治療目的で使用することが知られている。
• 製造者 (Maker): ハニーデュークスなどの魔法界の菓子製造業者。

魔法界のチョコレートは、マグル界のものと同様に、板状、ブロック状、あるいは蛙チョコレートのように魔法がかけられた菓子など、様々な形状で存在する。特に治療薬として用いられる際は、ポケットから取り出せる程度の大きさの、大きな塊であることが多い。 味や種類も豊富で、ハニーデュークスでは「ヌガー入り」「カリカリするナッツ入り」「キャラメル入り」など、多種多様なチョコレートが販売されている。

チョコレートの最も重要な魔法的特性は、吸魂鬼 (ディメンター) との遭遇による悪影響に対する即効性のある治療薬として機能する点である。

• 効果: 吸魂鬼の近くにいることで引き起こされる強烈な寒気や絶望感を和らげ、体に温かさを取り戻させる。レムス・ルーピンは、これを食べると「気分が晴れる」と説明している。
• 用途: 吸魂鬼に襲われたり、その影響を強く受けたりした直後に摂取するのが最も効果的である。ホグワーツの医務室では、マダム・ポンフリーが常備薬として処方している。
• 制限: この効果はあくまで応急処置的なものであり、深い悲しみやトラウマを根本的に治療するものではない。しかし、吸魂鬼が吸い取った幸福感や活力を一時的に補う上で不可欠なものとされる。

この治療効果以外にも、魔法界ではごく一般的な菓子として広く親しまれている。

チョコレートは、特に『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』において物語の重要な小道具として登場する。

• 初登場: 3年生の学期が始まる前のホグワーツ特急で、吸魂鬼の検問によってハリー・ポッターが意識を失った後、同室にいたレムス・ルーピンがハリーに大きなひとかけらのチョコレートを与えた。これが、チョコレートの治療効果が初めて示された場面である。
• 守護霊の呪文の練習: ルーピンがハリーに守護霊の呪文を個人教授する際、練習のたびにまね妖怪ボガートが変身した吸魂鬼と対峙しなければならなかったハリーのために、ルーピンは常にチョコレートを用意していた。
• クィディッチの試合: グリフィンドール対ハッフルパフの試合中に吸魂鬼が現れてハリーが気絶した際も、医務室で目覚めたハリーはマダム・ポンフリーから巨大な板チョコを渡されている。
• 不死鳥の騎士団: 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、ハリーとダドリー・ダーズリーがリトル・ウィンジングで吸魂鬼に襲われた後、ハリーはチョコレートが手元にないことを悔やんでいる。また、ドローレス・アンブリッジがハリーを妨害するために送り込んだ吸魂鬼に遭遇した生徒たちに対し、マダム・ポンフリーがチョコレートを配っている描写がある。

• 作者のJ.K.ローリングは、チョコレートが現実世界においても気分を慰め、高揚させる「コンフォート・フード」として知られていることから、その特性を魔法の世界に持ち込んだと考えられる。チョコレートに含まれるテオブロミンやフェニルエチルアミンといった物質は、実際に人間の気分に良い影響を与えることが科学的に知られている (ポッターモア)。