バーバラス・ブラッジ

バーバラス・ブラッジ

バーバラス・ブラッジは、14世紀の魔法使い評議会の議長を務めた人物です。彼は、スポーツであるクィディッチの歴史において、極めて重要かつ物議を醸す役割を果たしました。ブラッジは、試合中に生きたゴールデン・スニジェットを放ち、それを捕らえた選手に150ガリオンの賞金を与えるという慣習を導入しました。この行為は、結果的にゴールデン・スニッチが発明されるきっかけとなり、クィディッチというスポーツのあり方を永遠に変えました。

バーバラス・ブラッジの生涯に関する記録のほとんどは、1357年に行われたクィディッチの試合における彼の行動に集中しています。当時、魔法省の前身である魔法使い評議会の議長という高い地位にあった彼は、観戦していた試合の場にカゴに入れたゴールデン・スニジェットを持ち込みました。 試合の途中で、ブラッジは観衆に向かって演説し、この鳥を捕まえた選手に150ガリオンという莫大な賞金を与えることを宣言しました。彼はスニジェットを競技場に放ち、両チームのシーカーを含む全選手が、ボールそっちのけで小さな鳥を追い回すという混乱した状況を引き起こしました。 この行為に対し、観客席にいた魔女モデスティ・ラブノットが強く抗議しましたが、ブラッジは彼女の意見を一蹴し、後に彼女に10ガリオンの罰金を科しました。この出来事以降、試合でゴールデン・スニジェットを放つことが慣習となりましたが、これによりスニジェットは絶滅の危機に瀕することになります。この残酷な慣習が、後に魔法発明家のボウマン・ライトによるゴールデン・スニッチの開発へと繋がりました。

原著において、バーバラス・ブラッジの具体的な外見に関する描写はありません。 彼の性格は、その行動から推測することができます。ゴールデン・スニジェットという繊細でか弱い生き物を、野蛮なスポーツの見世物として利用し、その命を軽んじたことから、残酷横暴な人物であったと考えられます。また、150ガリオンもの大金を見せびらかすように提供した点からは、強い顕示欲がうかがえます。彼の姓である「ブラッジ (Bragge)」も、自慢する、威張るといった意味の動詞 “brag” を連想させます。

魔法使い評議会の議長という最高位の役職に就いていたことから、ブラッジが非常に有能で強力な魔法使いであったことは間違いありません。しかし、彼が具体的にどのような魔法を得意としていたか、あるいはどのような特殊な能力を持っていたかについての記録は残されていません。

  • Barbarus: ラテン語で「野蛮な」「未開の」を意味する “barbarus” に由来していると考えられます。これは、魔法の生き物に対する彼の残酷な扱いを的確に表しています。
  • Bragge: 英語の動詞 “to brag”(自慢する、威張る)が語源である可能性が高いです。これは、大観衆の前で高額な賞金を見せびらかした彼の顕示欲の強い性格を示唆しています。

バーバラス・ブラッジに関するすべての情報は、J.K. ローリングが執筆した関連書籍『クィディッチ今昔』に由来するものであり、『ハリー・ポッター』本編の小説7作品には登場しません。