ピンク色の傘
基本情報
- 所有者: ルビウス・ハグリッド
- 製造者: 不明(中身はルビウス・ハグリッドの折れた杖)
記述と外観
ピンク色の傘は、ルビウス・ハグリッドが常に持ち歩いている、少々使い古された外観の大きな傘です。一見すると普通のマグルの傘のように見えますが、実際には彼がホグワーツ魔法魔術学校を退学になった際に折られた自身の杖の破片が隠されています。 この傘は、魔法省の「不適切な魔法の使用を禁ずる法令」により魔法の使用を公式に禁じられているハグリッドが、魔法を行使するための唯一の手段です。
魔法の特性と用途
この傘の主な機能は、内部に隠されたハグリッドの杖の破片を通して、彼の魔法を導き出すことです。ハグリッドの元の杖は「樫、40センチ、かなりしなやか」でしたが、折れているためか、あるいはハグリッド自身の魔法の腕が未熟なためか、この傘を使って行われる魔法はしばしば予期せぬ結果や不完全な効果をもたらします。 作中で確認されている主な使用例は以下の通りです。
- 海の上の小屋で火をおこす。
- ハリー・ポッターを侮辱したダドリー・ダーズリーに、豚の尻尾を生やす。
- 自分の畑で栽培しているカボチャを巨大に育てる。
歴史
ルビウス・ハグリッドがホグワーツ魔法魔術学校の3年生だった時、彼はトム・リドルの策略にはまり、秘密の部屋を開いた犯人という濡れ衣を着せられました。その結果、ハグリッドは退学処分となり、所持していた杖は魔法省によって二つに折られました。 通常、退学者の杖は破壊され、魔法の使用は永久に禁じられます。しかし、当時変身術の教授であったアルバス・ダンブルドアの強い主張により、ハグリッドは森番としてホグワーツに残ることが許されました。ダンブルドアは、ハグリッドが折れた杖の破片を保持し、それをこのピンク色の傘の中に隠して使い続けることを黙認、あるいは手助けしたと強く示唆されています。ロン・ウィーズリーの折れた杖が全く役に立たなかったのとは対照的に、ハグリッドの傘は魔法の焦点として機能し続けています。
物語における役割
この傘は、ハリー・ポッターが初めて目の当たりにする意図的な魔法の道具として重要な役割を果たします。ダドリー・ダーズリーに豚の尻尾が生える場面は、ハリーにとって魔法界の存在を決定的に示す出来事でした。 また、この傘はルビウス・ハグリッドというキャラクターの核心を象徴しています。彼は不当な扱いによって魔法使いとしての道を絶たれましたが、その魔法の力を完全に失ってはおらず、優しさと正義感のために必要とあらばその力を使うことを躊躇しません。この傘は、彼の不屈の精神と、彼を信頼し続けたアルバス・ダンブルドアとの強い絆の証でもあります。
幕後情報
- 映画版では、この傘はハグリッドを象徴する小道具として頻繁に登場し、彼のキャラクターデザインの重要な一部となっています。(映画設定)
- ハグリッドの折れた杖がなぜ魔法を使えるのかについて、ファンの間ではアルバス・ダンブルドアがニワトコの杖を使って秘密裏に修復したのではないかという説が有力です。原作では直接的な言及はありませんが、状況証拠がこの説を強く後押ししています。