マーカス・フリント

マーカス・フリントは、ホグワーツ魔法魔術学校スリザリン寮に所属していた魔法使いです。ハリー・ポッターの在学初期におけるスリザリン寮のクィディッチチームのキャプテンであり、チェイサーを務めました。彼はその大柄な体格と攻撃的で反則も厭わないプレースタイルで知られ、グリフィンドールチーム、特にキャプテンのオリバー・ウッドにとって長年のライバルでした。

フリントはハリー・ポッターより少なくとも5学年年上でした。ハリーが1年生だった1991年〜1992年度には、フリントは6年生としてスリザリンクィディッチキャプテンを務めていました。この年のグリフィンドールスリザリンの試合では、彼はグリフィンドールチェイサーであるアンジェリーナ・ジョンソンを意図的に妨害し、ペナルティを取られています。 翌1992年〜1993年度、フリントは本来であれば卒業しているはずでしたが、学業不振のためか留年し、7年生として再び学校に在籍していました。この年、彼はドラコ・マルフォイの父、ルシウス・マルフォイからチーム全員に最新鋭の箒ニンバス2001が寄付されたことを受け、ドラコ・マルフォイをチームの新しいシーカーに任命しました。彼は古い箒を使っているグリフィンドールチームを公然と嘲笑し、ハーマイオニー・グレンジャーがマルフォイによって「穢れた血」と呼ばれた際も、それを制止することはありませんでした。 フリントは1993年の夏にホグワーツを卒業しました。彼の卒業は、グリフィンドールのキャプテンであるオリバー・ウッドによって、新学期のクィディッチ戦略を語る際に言及されています。

原作において、フリントは「トロールのような」と形容される容姿の持ち主として描かれています。大柄でがっしりとした体格をしており、彼にはトロールの血が混ざっているのではないかと噂されるほどでした。

フリントの性格は、典型的なスリザリン生のステレオタイプを体現しています。彼は勝利のためなら手段を選ばず、クィディッチの試合では反則行為を繰り返すなど、非常に好戦的でスポーツマンシップに欠ける人物です。また、マルフォイ一家のような純血主義的な思想に同調的であり、傲慢で他人を見下す傾向があります。キャプテンとしてチームを率いる統率力はあったものの、その手法は威圧的なものでした。

フリントの最も特筆すべき能力はクィディッチの腕前です。彼は長年スリザリンチームのチェイサーおよびキャプテンを務め、チームをグリフィンドールの強力なライバルとして維持しました。彼のプレースタイルは技術よりも、体格を活かした物理的な力と威嚇に重点を置いていました。

フリントが最終学年を留年したという事実から、彼の学業成績は芳しくなかったことが強く示唆されています。彼がどのような魔法を得意としたか、あるいは苦手としたかについての具体的な記述は原作にはありません。

  • Marcus (マーカス): 古代ローマの一般的な男性名で、ローマ神話の軍神「マルス (Mars)」に由来する可能性があります。これは、彼の好戦的で攻撃的な性格を暗示しています。
  • Flint (フリント): 「火打石」を意味する英単語。非常に硬い石の一種であり、武器や火を起こす道具として使われていました。これは彼の頑固で荒々しい、洗練されていないキャラクターを象徴していると考えられます。
  • 映画版での描写: 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』および『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、俳優のジェイミー・イェーツ (Jamie Yeates) がフリントを演じました。映画版では、原作の「トロールのよう」という記述を強調するため、非常に不揃いで突き出た歯を持つという特徴的な外見が与えられました。(映画設定)
  • 留年の設定: フリントが1作目で6年生でありながら、2作目にも登場するという矛盾を解決するため、作中でオリバー・ウッドが「フリントは試験に落ちて留年した」と説明するセリフが追加されました。これは、作者が物語の連続性を保つために導入した設定です。