ラブグッド家
概要
ラブグッド家は、その風変わりな性格と、魔法界の主流から外れた信念を持つことで知られる魔法使いの一族です。一家は『ザ・クィブラー』という雑誌を出版しており、その内容は一般的には突飛な陰謀論や存在が疑われる魔法生物に関する記事で満たされています。しかし、彼らは第二次魔法戦争において、ヴォルデモート卿に対する抵抗勢力の重要な支持者となり、ハリー・ポッターとアルバス・ダンブルドアを最後まで擁護し続けました。 一家の住居は、ウィーズリー家の隠れ穴にも近いオッタリー・セント・キャッチポールの村の近くにあります。その家は黒い円筒形で、巨大なチェスのルークのような外見をしています。
家族の歴史
ラブグッド家の詳しい血筋や古代の歴史についてはほとんど知られていませんが、物語に登場する世代はゼノフィリウス・ラブグッド、その妻パンドラ、そして娘のルーナ・ラブグッドです。 一家の大きな悲劇は、ルーナが9歳の時に起こりました。母親のパンドラは非常に実験好きな魔女でしたが、ある時、呪文の実験に失敗し、ルーナの目の前で命を落としました。この出来事により、ルーナは死を目の当たりにした者しか見ることのできないセストラルを視認できるようになりました。 第二次魔法戦争が激化すると、ラブグッド家はその立場を明確にしました。『ザ・クィブラー』は、『日刊予言者新聞』がハリーとダンブルドアを中傷していた時期に、ハリーのインタビューを掲載した唯一のメディアでした。これにより、同誌は闇の勢力に抵抗する人々の間で広く読まれるようになりました。 ビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式で、ゼノフィリウスは死の秘宝のシンボルを身に着けて出席し、それがハリーの関心を引くきっかけとなりました。しかしその後、娘のルーナがホグワーツ特急で死喰い人に誘拐されると、ゼノフィリウスは娘を救いたい一心で、家に訪れたハリーたちを死喰い人に引き渡そうとしました。この試みは失敗に終わり、ラブグッド家の家は戦闘で半壊しました。 ルーナはマルフォイの館で監禁された後、ドビーの助けで脱出し、最終的にホグワーツの戦いでダンブルドア軍団の一員として勇敢に戦いました。 戦後、ルーナは有名な魔法動物学者となり、同じく魔法動物学者であるロルフ・スキャマンダー(『幻の動物とその生息地』の著者ニュート・スキャマンダーの孫)と結婚しました。(Pottermore) 彼らにはローカンとライサンダーという双子の息子が生まれました。(J.K. ローリングのインタビュー)
家族の特徴
ラブグッド家は、一貫して風変わりであると評されます。彼らは他人の評価を気にせず、自分たちの信じる道を突き進む強い独立心を持っています。
- 信念: しわしわ角スノーカックやヒッポグリフの陰謀など、他の魔法使いたちが一笑に付すような存在や出来事を固く信じています。この独創的な世界観は、彼らの生活様式や会話の端々に表れています。
- 外見: 明るい金髪と、どこか夢見るような表情が共通の特徴として挙げられます。特にルーナは「いつも驚いているような表情」と描写されています。
- 性格: その奇抜さの裏には、深い愛情、揺るぎない忠誠心、そして驚くべき勇敢さが隠されています。彼らは友人と認めた相手に対しては非常に献身的であり、正しいと信じることのためには大きな危険を冒すことも厭いません。
既知の構成員
- ゼノフィリウス・ラブグッド: 一家の家長。『ザ・クィブラー』の編集長。
- パンドラ・ラブグッド: ゼノフィリウスの妻でルーナの母。故人。実験好きな才能ある魔女でした。
- ロルフ・スキャマンダー: ルーナの夫。(Pottermore)
- ローカン・スキャマンダー: ルーナとロルフの息子。(J.K. ローリングのインタビュー)
- ライサンダー・スキャマンダー: ルーナとロルフの息子。(J.K. ローリングのインタビュー)
名前の由来
- Lovegood: 「愛 (Love)」と「善 (Good)」を組み合わせた姓であり、一家の風変わりな行動の根底にある、純粋で善良な性質を象徴していると考えられます。
- Xenophilius: ギリシャ語の「Xeno(奇妙な、異質な)」と「philia(愛)」から来ており、「奇妙なものを愛する者」を意味します。これは彼の性格を完璧に表しています。
- Pandora: ギリシャ神話に登場する、禁断の箱を開けて世界に災いと希望を解き放った女性の名です。彼女の実験的な性格が悲劇(死)と希望(ルーナ)の両方をもたらしたことを示唆している可能性があります。
- Luna: ラテン語で「月」を意味します。月は古くから狂気(lunacy)と関連付けられてきましたが、同時に直感や神秘性の象徴でもあり、ルーナの持つ独特の知恵と洞察力を表しています。
舞台裏情報
- J.K. ローリングは、ルーナ・ラブグッドを「反ハーマイオニー」的なキャラクターとして創造したと語っています。ハーマイオニー・グレンジャーが論理と事実を重んじるのに対し、ルーナは信仰と直感を象徴しています。
- 映画版では、ラブグッド家の家が非常に独創的かつ魅力的にデザインされ、一家の風変わりなライフスタイルが視覚的に表現されています。特に、ゼノフィリウスが死の秘宝について語るシーンは印象的です。
- ルーナがニュート・スキャマンダーの孫と結婚したという設定は、『ハリー・ポッター』シリーズと『ファンタスティック・ビースト』シリーズの世界観を繋ぐ重要な要素となっています。(Pottermore)