レストレンジ家
概要
レストレンジ家 (Lestrange family) は、魔法界で最も古く、最も裕福な純血の魔法族の家系のひとつです。彼らは「聖28一族」の一員として知られており、純血の優越性を固く信じる思想で悪名高いです。特に20世紀後半には、ヴォルデモート卿への狂信的な忠誠心と、死喰い人としての残忍な活動によって、魔法界に恐怖をもたらしました。
家族の歴史
レストレンジ家の血統は古く、その名は19世紀の魔法大臣、ラドルファス・レストレンジにまで遡ります (Pottermore)。しかし、彼らが物語において重要な役割を果たすのは、20世紀に入ってからです。 トム・マールヴォロ・リドルがホグワーツ魔法魔術学校に在学していた時代、既にレストレンジ家の者が彼の初期の追随者、すなわち死喰い人の前身となる集団に加わっていました。これは、レストレンジ家が早くから闇の魔術とヴォルデモートの思想に傾倒していたことを示唆しています。 第一次魔法戦争において、レストレンジ家はヴォルデモートの中核的な支持者として活動しました。特にロドルファス・レストレンジと彼の弟ラバスタン・レストレンジ、そしてロドルファスの妻であるベラトリックス・レストレンジ (旧姓 ブラック) は、ヴォルデモート失踪後も忠誠を誓い続けました。彼らは、ヴォルデモートの居場所に関する情報を求めて、不死鳥の騎士団のメンバーであったフランク・ロングボトムとアリス・ロングボトム夫妻を磔の呪いで拷問し、再起不能な精神的ダメージを与えました。この罪により、彼らはアズカバンへの終身刑を宣告されました。 1996年、アズカバンの集団脱獄によって自由の身となった彼らは、直ちにヴォルデモート卿のもとへ馳せ参じ、第二次魔法戦争で再び主要な役割を担いました。彼らは神秘部の戦いやホグワーツの戦いを含む数々の戦闘に参加し、その残虐性で多くの人々を手にかけました。また、ヴォルデモートはレストレンジ家を深く信頼しており、自身の分霊箱のひとつであるハッフルパフのカップを彼らがグリンゴッツ魔法銀行に所有する金庫に預けていました。
既知のメンバー
- ベラトリックス・レストレンジ (Bellatrix Lestrange) (旧姓 ブラック (née Black)): ブラック家出身で、レストレンジ家に嫁いだ魔女。ヴォルデモート卿の最も忠実で危険な部下の一人。極めて強力な闇の魔女であり、そのサディスティックな性格で知られる。
- リタ・レストレンジ (Leta Lestrange): 20世紀初頭の魔女。ニュート・スキャマンダーのホグワーツ時代の友人であり、彼の兄テセウス・スキャマンダーの婚約者だった。彼女の複雑な家系の物語は、主に映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで描かれている。(映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズ)
- レストレンジ (姓のみ): トム・マールヴォロ・リドルがホグワーツに在学していた頃の、彼の最初の追随者の一人。
イデオロギーと評判
レストレンジ家は、純血の血統を何よりも重視する選民思想に深く染まっています。彼らはマグル生まれや「血を裏切る者」を激しく軽蔑し、魔法界を純血の魔法使いのみで支配するというヴォルデモートの理念を熱狂的に支持しました。 その評判は、残酷、傲慢、そして精神的な不安定さと密接に結びついており、特にベラトリックスの狂気的な行動によって決定づけられました。彼らは目的のためなら許されざる呪文の使用を躊躇せず、多くの魔法使いから恐怖と憎悪の対象とされています。
関連する場所と物品
- レストレンジ家の金庫: グリンゴッツ魔法銀行の地下深くにある、厳重に警備された金庫。ヴォルデモートの分霊箱であるハッフルパフのカップが保管されていた。金庫には双子の呪いや灼熱の呪いがかけられ、盲目のドラゴンが番をしていた。
- レストレンジ家の霊廟 (Lestrange Mausoleum): フランスのパリにある一族の墓所。リタ・レストレンジの家系の歴史において重要な場所として登場する。(映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズ)
名前の由来
「Lestrange」という姓は、フランス語の “L'étrange” に由来していると考えられます。これは「奇妙な者」や「異質な者」を意味し、一族の風変わりで不吉、そして社会から隔絶された性質を的確に表しています。
幕後情報
- レストレンジ家が「聖28一族」の一つであるという設定は、J.K.ローリングが公式サイト Pottermore で初めて公開したものです。
- リタ・レストレンジをはじめとする20世紀初頭の家族の複雑な背景や歴史の多くは、原作小説には登場せず、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで詳しく描かれています。