ロウェナ・レイブンクローの髪飾り

ロウェナ・レイブンクローの髪飾りは、精巧で美しい銀製のティアラ(髪飾り)です。レイブンクロー寮の象徴であるの形をしており、表面には「計り知れぬ知恵こそ、人にとって最大の宝なり」(Wit beyond measure is man's greatest treasure) という銘が刻まれています。 ハリー・ポッター必要の部屋で初めて(それとは知らずに)目撃した際には、「曇った銀」でできており、「色褪せた小さな青と白の石」がはめ込まれている、古びた品として描写されました。

  • 本来の魔法: 伝説によれば、この髪飾りを身に着けた者は知恵が増すと信じられていました。これは、レイブンクローの創設者であるロウェナが非常に聡明であったことに由来します。
  • 魂器としての特性: ヴォルデモート卿は、この髪飾りを自身の魂器の一つに変えました。これにより、髪飾りはヴォルデモート卿の魂の一部を内包する器となり、極めて強力な闇の魔術によって守られるようになりました。魂器となった髪飾りは、バジリスクの牙や悪霊の火のような、数少ない非常に強力な破壊手段でなければ破壊できません。

この髪飾りは、ホグワーツ魔法魔術学校の四人の創設者の一人、ロウェナ・レイブンクローが所有していた伝説的な品でした。彼女の娘であるヘレナ・レイブンクローは、母の知恵を妬み、自分も賢くなりたいという願いからこの髪飾りを盗み出し、アルバニアの森の奥深くに隠しました。 母ロウェナは娘の裏切りに深く傷心し、重い病に倒れました。死ぬ前にもう一度娘に会いたいと願い、彼女に想いを寄せていた血まみれ男爵を使いにやりました。しかし、ヘレナが帰還を拒んだため、逆上した男爵は彼女を殺害し、その後自らの命を絶ちました。以後、ヘレナの亡霊はレイブンクロー寮の幽霊灰色の貴婦人」としてホグワーツに留まりました。 数世紀後、ホグワーツの生徒であったトム・マールヴォロ・リドルは、灰色の貴婦人を巧みに言いくるめ、髪飾りの隠し場所を聞き出します。卒業後、アルバニアへ向かったリドルは髪飾りを発見し、地元の農民を殺害することで、それを自身の六番目の魂器へと変えました。後にヴォルデモート卿となった彼は、ホグワーツの「闇の魔術に対する防衛術」の教授職を求めて城を再訪した際、誰にも発見されることはないと信じ、髪飾りを必要の部屋に隠しました。

ロウェナ・レイブンクローの髪飾り」は、ヴォルデモート卿を倒すためにハリー・ポッターたちが探し求める最後の魂器の一つとして、物語のクライマックスで極めて重要な役割を果たします。 灰色の貴婦人から髪飾りの過去を聞き出したハリーは、それがホグワーツ城内にあること、そして自分が六年生の時に半純血のプリンスの教科書を隠した必要の部屋で既に目にしていたことに気づきます。 ホグワーツの戦いの最中、ハリーはロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーと共に必要の部屋へ向かいますが、そこでドラコ・マルフォイビンセント・クラッブグレゴリー・ゴイルと遭遇します。戦闘の混乱の中、クラッブが放った制御不能の呪い「悪霊の火」が部屋全体を飲み込みます。この強力な呪いの炎によって、魂器であった髪飾りは完全に破壊されました。

  • 映画における破壊シーン: 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では、髪飾りの破壊方法が原作と異なります。ハリーがバジリスクの牙で髪飾りを突き刺した後、ロン・ウィーズリーがそれを燃え盛る悪霊の火の中へ蹴り込むという描写になっています。(映画設定)
  • デザインの変更: 原作におけるレイブンクローの象徴は鷲ですが、映画シリーズでは鴉(レイブン)に変更されています。それに伴い、髪飾りのデザインも鷲ではなく、鴉を模したものになっています。(映画設定)