レイブンクローの髪飾り

レイブンクローの髪飾りは、繊細で美しい銀製のティアラです。ハリー・ポッター有求必应屋で発見した際には、長い年月を経て黒ずみ、古びた様子でした。その表面には、「計り知れぬ知恵こそ、人にとって最大の宝なり」(Wit beyond measure is man's greatest treasure) というレイブンクロー寮のモットーが刻まれています。また、デザインにはきらめく青白い石(灰色の貴婦人の言及によれば淡いサファイア)がはめ込まれており、中心には楕円形の大きな青い石が配されています。

この髪飾りが持つ本来の魔法は、着用者の知恵を高めることでした。ロウェナ・レイブンクロー自身がその聡明さで知られていたため、この髪飾りも彼女の伝説の一部となりました。 しかし、ヴォルデモート卿がこれを自身の魂器の一つに変えたことで、髪飾りは強力な闇の魔術を帯びるようになります。魂器として、内部にヴォルデモートの魂の欠片を宿しており、これが破壊されない限りヴォルデモートは不死身でした。この呪いにより、バジリスクの牙や悪霊の火といった極めて強力な闇の魔術でしか破壊できない存在となりました。

  1. 髪飾りは元々、ホグワーツの創設者の一人であるロウェナ・レイブンクローが所有していました。
  2. 母親の叡智と名声に嫉妬した娘のヘレナ・レイブンクローが、母を超える知恵を得ようとこの髪飾りを盗み出し、アルバニアの森の木のうろに隠しました。
  3. ヘレナを連れ戻すようロウェナに頼まれた血まみれ男爵が、逆上して彼女を殺害。ヘレナは後にホグワーツの幽霊、灰色の貴婦人となります。
  4. 数世紀後、ホグワーツの生徒だったトム・マールヴォロ・リドルが、その類稀な魅力で灰色の貴婦人を説得し、髪飾りの隠し場所を聞き出します。
  5. ホグワーツ卒業後、アルバニアを訪れたトムは髪飾りを発見し、地元の農民を殺害することでこれを自身の5つ目の魂器としました。
  6. 後年、闇の魔術に対する防衛術の教授職を求めてホグワーツを再訪した際、ヴォルデモートはこの髪飾りを、自分だけがその秘密を知っていると信じていた有求必应屋に隠しました。

レイブンクローの髪飾りは、第二次魔法戦争においてヴォルデモートを倒すための鍵となる重要な魂器です。 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で、ハリー・ポッター半純血のプリンスの教科書を隠すために有求必应屋を訪れた際、それとは知らずにこの髪飾りを目撃し、目印として老いた魔法使いの石像の頭にかぶせています。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、ハリーはヴォルデモートとの精神的な繋がりを通じて髪飾りがホグワーツにあることを突き止めます。ルーナ・ラブグッドの助言で灰色の貴婦人に話を聞き、その場所が有求必应屋であることを確信します。ホグワーツの戦いの最中、ロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーと共に有求必应屋に潜入し、髪飾りを発見します。しかし、そこに現れたドラコ・マルフォイビンセント・クラッブグレゴリー・ゴイルとの戦闘に発展し、クラッブが放った制御不能の悪霊の火によって髪飾りは破壊されました。悪霊の火魂器を破壊できる数少ない手段の一つであり、この偶発的な出来事によってヴォルデモートの魂の欠片がまた一つ消滅しました。