グレゴリー・ゴイル

グレゴリー・ゴイル (Gregory Goyle) は、ハリー・ポッターと同時代のホグワーツ魔法魔術学校に在籍した純血の魔法使いであり、スリザリン寮に所属していました。彼は主にドラコ・マルフォイの取り巻きの一人として知られ、もう一人のビンセント・クラッブと共に、マルフォイの忠実な子分かつ護衛役を務めました。知性よりも腕力で行動することが多く、物語の中では主に敵役としてハリー・ポッターやその友人たちの前に立ちはだかりました。

ゴイルは、ヴォルデモート卿に仕える死喰い人であるゴイル氏の息子として生まれました。彼は純血の家系に育ち、マルフォイやクラッブと同様に、マグルやマグル生まれの魔法使いに対する強い偏見を持って育てられました。

1991年にホグワーツに入学し、組分け帽子によってスリザリン寮に組分けされました。入学直後からドラコ・マルフォイ、ビンセント・クラッブと行動を共にするようになります。ゴイルとクラッブは、マルフォイの指示に従って他の生徒、特にグリフィンドール生を威嚇する役割を担いました。 2年時、ハリーとロン・ウィーズリーはポリジュース薬を使い、それぞれゴイルとクラッブに変身してスリザリンの談話室に潜入しました。この際、ハリーがゴイルの姿になりました。 5年時には、ドローレス・アンブリッジが組織した魔法省調査部員に加わり、ダンブルドア軍団のメンバーを摘発する活動に協力しました。しかし、学業成績は芳しくなく、少なくとも「闇の魔術に対する防衛術」のO.W.L.試験には不合格でした。

ヴォルデモート卿が魔法界を掌握し、ホグワーツが死喰い人の支配下に置かれた7年時、ゴイルは学校に留まりました。 1998年のホグワーツの戦いの最中、ゴイルはマルフォイ、クラッブと共に必要の部屋でハリーたちと対峙します。この時、クラッブが強力な闇の呪文である悪霊の火を放ち、部屋は制御不能の炎に包まれました。ゴイルはクラッブによって気絶させられましたが、ハリーとロンによってハーマイオニー・グレンジャーと共に箒で救出されました。この事件でクラッブは命を落とし、ゴイルは九死に一生を得ました。その後の彼の人生については、原作では語られていません。

ゴイルは非常に大柄で、ゴリラのような長い腕を持つ、がっしりとした体格の持ち主として描かれています。髪は短く、表情は鈍重で、知性を感じさせない印象を与えます。 性格は極めて単純で、自ら考えて行動することはほとんどありません。彼は常にマルフォイの指示を待ち、それに従うだけの追従者です。知性は低いですが、その体格を活かした暴力的な威圧を得意とし、弱い者いじめを楽しみます。

ゴイルの魔法の腕前は、物語を通して一貫して低いレベルで描かれています。彼は授業についていくのに苦労し、単純な呪文でさえしばしば失敗しました。 しかし、7年時にはある程度の戦闘能力を身につけていたことが示唆されています。必要の部屋での戦いでは、ハーマイオニー・グレンジャーに対して許されざる呪文の一つである磔の呪いを使おうとしましたが、ハーマイオニーの武装解除呪文によって阻止されました。 また、一時期スリザリンのクィディッチチームでビーターを務めていました。

• ドラコ・マルフォイ: ゴイルが絶対的に従うリーダー。彼らの関係は対等な友情というより、主従関係に近いものです。
• ビンセント・クラッブ: 常にゴイルと行動を共にする相棒。二人で一人前と見なされることが多く、知性や能力の面でも同レベルです。
• ゴイル氏: 彼の父親であり、死喰い人です。この親子関係が、ゴイル家のヴォルデモート卿への忠誠を物語っています。
• ハリー・ポッター: 敵対関係にあり、マルフォイの指示で何度もハリーたちに嫌がらせをしました。

• Gregory: ギリシャ語の「Gregorios」に由来し、「見張っている」「用心深い」といった意味を持ちます。しかし、彼の注意力が散漫で知性の低い性格とは皮肉な対比をなしています。
• Goyle: 建物の屋根から雨水を排出するために取り付けられる、怪物などをかたどった彫刻「ガーゴイル (Gargoyle)」に由来する可能性があります。これは彼の醜く、威圧的な外見を暗示していると考えられます。

• 映画での変更点: 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では、必要の部屋のシーンで大きな変更があります。原作ではビンセント・クラッブが悪霊の火を放って死亡しますが、映画ではクラッブの俳優が出演できなかったため、その役割がゴイルに変更されました。映画版では、ゴイルが悪霊の火を放ち、自らがその炎に飲まれて死亡します。（映画設定）