ヴェーラ
概要
ヴェーラ (Veela) は、東ヨーロッパ、特にブルガリアに生息するとされる、人間の姿に似た半人的な魔法生物の一種である。彼女たちは息をのむほどの美しさを持つ女性の姿をしているが、怒ると恐ろしい鳥のような姿に変身することで知られている。その魅力と激しい気性から、魔法界では広く知られた存在である。 フラー・デラクールは祖母がヴェーラであったため、四分の一ヴェーラの血を引いている。
外見と性質
ヴェーラの外見と性質は、その感情の状態によって劇的に変化する。
- 通常時: ヴェーラは非常に美しい女性の姿をしている。その肌は月のように輝き、金色の髪は風がないのに宙に舞う。彼女たちの容姿と、後述する魔法的な魅力は、特に男性に対して抗いがたい影響を与える。
- 激昂時: ヴェーラが怒ると、その美しい顔は長く鋭い嘴を持つ残酷な鳥の頭に変わり、肩からは鱗に覆われた翼が生える。この恐ろしく鳥のような姿に変身した際、彼女たちは非常に危険な存在となる。
- 性質: ヴェーラは非常に気位が高く、激しい気性を持つことで知られている。侮辱されたと感じると、即座に怒りを爆発させ、攻撃的になる傾向がある。
生態と魔法的特徴
ヴェーラは、その美しさだけでなく、強力な魔法的能力をいくつも備えている。
- 魅了: ヴェーラは、踊りや音楽を通じて周囲の男性を魅了し、理性を失わせることができる。1994年のクィディッチ・ワールドカップでは、ブルガリア・ナショナル・クィディッチ・チームのマスコットとして登場し、その踊りで観客や審判さえも虜にした。この効果は非常に強力で、ハリー・ポッターやロン・ウィーズリーも一時的に我を忘れて愚かな行動をとりそうになった。
- 炎の生成: 怒って変身した際、ヴェーラは手から火の玉を投げつけて攻撃することができる。クィディッチ・ワールドカップでは、アイルランドチームのマスコットであるレプラコーンに挑発され、実際に火の玉を放った。
- ヴェーラの髪: ヴェーラの髪の毛は、杖の芯として使用できる強力な魔法物質である。しかし、ギャリック・オリバンダーによれば、ヴェーラの髪は非常に「気まぐれ」な性質を持つため、彼はその芯材を好んで使用しない。フラー・デラクールの杖の芯は、彼女の祖母であるヴェーラの髪の毛であった。
人間との関係
ヴェーラは人間の男性と結婚し、子孫を残すことができる。その子供たちはヴェーラの血を引き継ぎ、常人離れした美しさや魅力を備えることが多い。
- ヴェーラの血を引く者は、その魅力によって他者を惹きつけるが、同時に激しい気性も受け継ぐことがある。
物語における役割
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』: ヴェーラが初めて登場し、その存在が詳しく描写された巻である。クィディッチ・ワールドカップでのマスコットとしての役割は、読者に強い印象を与えた。また、三大魔法学校対抗試合のボーバトン魔法アカデミー代表であるフラー・デラクールがヴェーラの血を引いていることが明かされ、物語の重要な要素となった。
名前の由来
「ヴェーラ (Veela)」という名前は、スラブ神話に登場する精霊「ヴィラ (Vila)」に由来すると考えられている。神話におけるヴィラは、山や森に住む美しい女性の姿をした精霊で、歌や踊りで人を魅了するが、怒らせると恐ろしい存在に変わるとされている。この特徴は、J.K. ローリングが描いたヴェーラの性質と酷似している。
幕後情報
- 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ヴェーラが怒って変身する際、原作の「鳥のような姿」とは異なり、炎のようなエネルギー体に変化する描写となっている。(映画版の設定)