七人のポッターの戦い

七人のポッターの戦い (Battle of the Seven Potters) とは、第二次魔法戦争中の1997年7月27日に発生した空中戦である。この戦いは、ハリー・ポッターが17歳の誕生日を迎え、母親の血による守りの魔法が失効する直前に、彼をダーズリー家から不死鳥の騎士団の安全な隠れ家へ移動させるための作戦中に勃発した。作戦は死喰い人による待ち伏せに遭い、激しい戦闘へと発展した。 作戦の主目的であるハリーの安全な移動は達成されたものの、騎士団側はリーダー格であったアラスター・ムーディを失うなど、大きな犠牲を払った。

ハリー・ポッターは、母親リリー・ポッターの犠牲によって与えられた古代の魔法によって、血縁者であるダーズリー一家の家にいる限り、ヴォルデモート卿から直接的な危害を加えられることはなかった。しかし、この守りは彼が成人する17歳の誕生日(7月31日)に失効することになっていた。 魔法省ヴォルデモート卿の支配下に陥りつつある中、不死鳥の騎士団はハリーをプリベット通り四番地からより安全な場所である隠れ穴へ移送する必要があった。しかし、死喰い人たちはハリーが移動する正確な日時を突き止めており、彼を捕獲または殺害するために待ち伏せを計画していた。

作戦はアラスター・ムーディによって立案された。敵を欺き、本物のハリーを守るため、6人の仲間がポリジュース薬を飲んでハリーの姿に変身した。これにより、合計7人のハリー・ポッターが同時に出発することになった。それぞれのハリーには護衛が一人ずつ付き、異なるルートで別々の隠れ家へ向かう手筈だった。

7組がプリベット通りを飛び立つと、即座に約30人もの死喰い人に襲撃された。死喰い人たちは騎士団の計画を正確に把握していた。

  • ムーディの死とマンダンガスの逃亡:

襲撃の初期段階で、臆病なマンダンガス・フレッチャーは恐怖のあまり姿くらましで逃亡した。護衛対象を失ったアラスター・ムーディは、ヴォルデモート卿本人から放たれたアバダ・ケダブラの呪文を受け、箒から落下し死亡した。

  • 本物のハリーの特定:

ヴォルデモート卿は当初から本物のハリーを追跡していた。戦闘中、ハリーのペットであったフクロウのヘドウィグが死の呪いを受けて死亡。さらに、ハリーが服従の呪文下にあるスタン・シャンパイクに対して武装解除呪文であるエクスペリアームスを使ったことで、彼の情け深い性格が露呈し、本物であると特定された。その後、ハリーの杖が自らの意志でヴォルデモート卿に黄金の炎を放ち、ヴォルデモート卿が借りていたルシウス・マルフォイの杖を破壊した。

  • ジョージ・ウィーズリーの負傷:

ジョージ・ウィーズリーリーマス・ルーピンのペアは、セブルス・スネイプに追跡された。スネイプはジョージの近くにいた死喰い人の腕を狙って「セクタムセンプラ」を放ったが、誤ってジョージの耳を切り落としてしまった。 最終的に、ハリーとハグリッドはシリウス・ブラックのバイクでトンクスの両親の家に不時着し、そこからポートキーを使って隠れ穴にたどり着いた。他のペアも次々と隠れ家に到着したが、ムーディとマンダンガスだけが戻らなかった。

主要目的であったハリー・ポッターの安全な移動は成功した。

  • 影響:

この戦いは、不死鳥の騎士団に大きな打撃を与えた。特に、経験豊富で強力な闇祓いであるムーディの死は計り知れない損失であった。また、作戦情報が死喰い人に漏洩していたという事実は、騎士団内部に裏切り者がいるという疑念を深刻化させ、メンバー間の不信感を煽った。

  • 情報漏洩の真相:

作戦の情報漏洩は、セブルス・スネイプによるものであった。彼はアルバス・ダンブルドアの遺言に従い、ヴォルデモート卿の信頼を維持しつつハリーを守るため、意図的に情報を流していた。スネイプは「七人のポッター」という作戦自体をマンダンガス・フレッチャーに「錯乱の呪文」を使って提案し、さらに移動の正確な日時をヴォルデモート卿に伝えた。これにより、彼は死喰い人の中での地位を不動のものにした。

  • 映画版との相違点:

原作では、ヘドウィグは鳥籠の中にいる状態でアバダ・ケダブラの緑の閃光に当たり、あっけなく死んでしまう。一方、映画版では、ヴォルデモート卿の呪いからハリーを守ろうとして身代わりとなり、英雄的な死を遂げる描写に変更されている。