ハナハッカ

• タイプ (Type): 魔法植物、魔法薬の材料
• 主な使用者 (Main Users): ハーマイオニー・グレンジャー、セブルス・スネイプ、ホラス・スラグホーン、ニュート・スキャマンダー (『ファンタスティック・ビースト』シリーズ)
• 主な形態 (Main Form): ハナハッカのエキス (Essence of Dittany)
• 入手方法 (Acquisition Method): 薬問屋での購入、または栽培

ハナハッカは、極めて強力な治癒・再生能力を持つ魔法植物である。主に「ハナハッカのエキス (Essence of Dittany)」という液体状に加工されて使用される。 このエキスを開いた傷口に数滴垂らすと、傷口から緑がかった煙が立ち上り、瞬時に新しい皮膚が形成される。即座に処置すれば、傷跡が残るのを防ぐことも可能である。魔法薬学の教科書である『千の魔法薬草と毒キノコ』にも記載されている、基本的かつ非常に重要な薬草の一つである。

• 外傷治療: ハナハッカの最も知られた用途は、裂傷や切り傷といった外傷の治療である。
  1. 1997年、魔法省から脱出する際に姿くらましに失敗して腕が「裂けた」ロン・ウィーズリーに対し、ハーマイオニー・グレンジャーがこのエキスを使用して治療した。
  2. 同年、ハリー・ポッターがゴドリックの谷でナギニに噛まれた際や、凍った池からグリフィンドールの剣を取り出した際に負った傷の治療にも用いられた。
• 解毒剤の材料: ホラス・スラグホーン教授の魔法薬学の授業で言及されているように、「基本的な毒消し薬」の材料に含まれている。
• ウィゲンウェルド薬の材料: 若返りの効果があるウィゲンウェルド薬の重要な材料の一つでもある。(ゲーム設定)

ハナハッカ、特にそのエキスは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、分霊箱を探す旅をするハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの3人にとって、文字通り生命線となった。 ハーマイオニーがビーズのついた小さなバッグに用意周到に忍ばせていたことで、一行は専門的な治療を受けられない状況下で何度も深刻な怪我から回復することができた。このアイテムの存在は、ハーマイオニーの優れた計画性と、旅の過酷さを象徴している。また、残量が少なくなっていく描写は、彼らが直面する危険と物資の乏しさを強調し、物語に緊張感を与えた。

• 名前の由来: ハナハッカ (Dittany) は、現実に存在する植物である。特にクレタ島に自生する種類 (Origanum dictamnus) は、古代ギリシャ時代から強力な薬草として知られ、傷口から矢を抜く際に使われたという伝説がある。この民間伝承が、作中での強力な治癒能力の設定に影響を与えたと考えられる。
• スネイプのメモ: 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』でハリーが手に入れた上級魔法薬の教科書には、セブルス・スネイプによる「ハナハッカの切り口に銀とクサカゲロウを振りかける」という独自の指示が書き加えられていた。これは、スネイプの魔法薬学における深い知識と独創性を示す一例である。