『幻の動物とその生息地』 (Fantastic Beasts and Where to Find Them) は、著名な魔法動物学者ニュート・スキャマンダーによって執筆された、魔法生物に関する最も権威ある図鑑の一つです。本書は長年にわたり、ホグワーツ魔法魔術学校 の選択科目「魔法生物の飼育」の指定教科書として採用されています。 ハリー・ポッターが3年生の時に使用した版は、特に「怪物的な本」として知られています。この版は緑色の表紙を持ち、意図的に傷つけられたような爪痕がついています。タイトルは金色で型押しされていますが、一部が欠けているように見えました。最も顕著な特徴は、本自体に生命が宿っているかのように、不用意に開こうとする者を激しく噛みつくことです。この本を安全に開く唯一の方法は、背表紙を優しく撫でることです。
本書の主な用途は、魔法界に生息する多種多様な魔法生物についての知識を深めるための教材です。それぞれの生物について、詳細な生態、習性、危険度が解説されています。 特筆すべきは、魔法省が定めた危険度分類が記載されている点です。この分類は「X」から「XXXXX」までの5段階で評価されます。
ハリー・ポッターが所有していた版は、前述の通り、所有者以外を攻撃する防犯魔法がかけられていました。これは、教科書としては極めて珍しい特性です。
本書は1927年にオブスキュラス・ブックス社から初版が発行されました。著者のニュート・スキャマンダーが世界中を旅して集めたフィールドワークの成果が結実したものであり、たちまち魔法生物学の標準テキストとしての地位を確立しました。 ハリー・ポッターがホグワーツ魔法魔術学校に入学した1990年代には、すでに第52版を重ねるほどのベストセラーとなっていました。このことからも、本書が長期間にわたり魔法界で広く受け入れられていることがうかがえます。
『幻の動物とその生息地』は、シリーズ第3巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で初めて登場します。新たに「魔法生物の飼育」の教授に就任したルビウス・ハグリッドが、3年生の教科書としてこの「怪物的な本」を指定しました。 生徒たちはこの本を制御するのに大変苦労し、ダイアゴン横丁のフローリシュ・アンド・ブロッツ書店の店員は、乱暴な本を檻に入れて管理していました。この教科書の存在は、ハグリッドの少し風変わりで危険を顧みない教育方針を象徴するエピソードとして描かれています。物語の中で、本書に記載されている生物(ヒッポグリフなど)が重要な役割を果たします。