フィレンツェは、禁じられた森に住むケンタウロスの群れの一員であり、後にホグワーツ魔法魔術学校の占い学の教授となった人物です。彼はケンタウロスの伝統的な人間不信の姿勢とは一線を画し、アルバス・ダンブルドアとハリー・ポッターの側に立ち、第二次魔法戦争で重要な役割を果たしました。その親人間的な態度のために、一時は群れから追放されましたが、最終的にはその名誉を回復しました。
フィレンツェは、ホグワーツの敷地内にある禁じられた森で、ベインやロナンといった他のケンタウロスと共に暮らしていました。ケンタウロスとして、彼は星の動きから未来の出来事を読み解くことに長けていましたが、多くの仲間と同様に、未来は変えられないという運命論的な考えを持っていました。しかし、彼は仲間たちとは異なり、人間に対して敵意を抱いておらず、必要であれば協力することも厭いませんでした。
ハリー・ポッターが1年生の時、罰則として禁じられた森に入った際、フィレンツェは彼の命を救いました。森の中でユニコーンの血をすする謎の人物(ヴォルデモートに憑依されたクィリナス・クィレル)に襲われたハリーを、フィレンツェが駆けつけて助け出したのです。彼はハリーを背中に乗せて安全な場所まで運びましたが、この行為は「人間に仕える騾馬」のようだとベインから激しく非難されました。フィレンツェは、迫りくる邪悪(ヴォルデモート)と戦うことがケンタウロスの使命であると反論し、ハリーにヴォルデモートが何を企んでいるかを伝えました。
ドローレス・アンブリッジがシビル・トレローニーを占い学教授の職から追放した際、アルバス・ダンブルドアは後任としてフィレンツェを雇い入れました。人間に仕えることを選んだフィレンツェに対し、マゴリアンが率いるケンタウロスの群れは激怒し、彼を裏切り者として攻撃しました。フィレンツェは殺されかけましたが、ルビウス・ハグリッドによって救出されました。 ホグワーツでは、彼の教室は魔法によって禁じられた森の空き地のように作り変えられました。フィレンツェの授業は、星の動きから大きな運命の流れを読み解くという哲学的なものであり、具体的な予言を求めるラベンダー・ブラウンやパーバティ・パチルのような生徒を戸惑わせました。
アンブリッジがホグワーツを去った後、トレローニー教授が復職しましたが、群れから追放されたフィレンツェには帰る場所がなかったため、ダンブルドアは彼を解雇しませんでした。その結果、占い学の授業はフィレンツェとトレローニーが共同で担当することになりました。二人は互いの教授法を認め合わず、非常に険悪な関係でした。
第二次魔法戦争がホグワーツの戦いで頂点に達した際、フィレンツェはホグワーツの防衛側として勇敢に戦いました。彼は死喰い人との戦闘で重傷を負いましたが、一命をとりとめました。戦いの後、彼の親人間的な姿勢が恥ずべきものではなく、名誉あるものであったことを群れの仲間たちも認めざるを得なくなり、フィレンツェは再び群れに温かく迎え入れられました。(Pottermore)
* 外貌: フィレンツェは、腰から上は人間、下は馬というケンタウロスの姿をしています。馬の身体は美しいパロミノ(月毛)で、人間部分の髪は白金色のブロンド、そして「驚くほど青い」と表現される瞳を持っています。作中ではハンサムなケンタウロスとして描写されています。 * 性格: 賢明で落ち着きがあり、思慮深い性格です。彼は他の多くのケンタウロスとは異なり、人間を見下すことなく、正義のために協力することを厭わない勇気と高潔さを持っています。彼の言葉はしばしば謎めいていますが、それは星から読み解いた運命を語っているためです。
「フィレンツェ」(Firenze) は、イタリアの都市「フィレンツェ (Florence)」のイタリア語名です。フィレンツェはルネサンスの中心地であり、天文学者ガリレオ・ガリレイが活躍した場所としても知られています。星を読んで未来を占う賢明なケンタウロスであるフィレンツェのキャラクターに、この名前は非常によく合致しています。