マルフォイ家 (Malfoy Family) は、魔法使いの世界で最も古く、裕福で影響力のある純血の旧家の一つである。「聖28一族」にもその名が記されている。一族は純血の血統を至上のものとみなし、マグルやマグル生まれの魔女や魔法使いを蔑視する純血主義の思想を強く信奉している。物語においては、ハリー・ポッターの敵対者として、またヴォルデモート卿と死喰い人の有力な支持者として重要な役割を担うが、第二次魔法戦争の終盤でその忠誠心は揺らぎ、最終的には自己保身のために離反した。
マルフォイ家の祖先であるアルマン・マルフォイは、1066年にウィリアム征服王と共にブリテン島へ渡ってきたとされる。彼は王に秘密裏の、そしてしばしば魔術的な奉仕を行うことで、ウィルトシャー州の肥沃な土地を与えられた。その後何世紀にもわたり、マルフォイ家はマグル社会の上流階級と付き合い、富と影響力を拡大していった。しかし、1692年に「国際魔法使い機密保持法」が制定されると、一族はマグルとの関係を一切否定し、熱心な純血主義の支持者としての立場を鮮明にした。(Pottermore)
20世紀後半、当主であったルシウス・マルフォイはヴォルデモート卿に仕える死喰い人となった。第一次魔法戦争でヴォルデモート卿が失踪すると、ルシウスは服従の呪文によって操られていただけだと主張し、アズカバンへの収監を免れた。 第二次魔法戦争が勃発すると、マルフォイ家は再びヴォルデモート卿に忠誠を誓い、彼らの邸宅であるマルフォイの館は死喰い人の拠点として使用された。しかし、ヴォルデモート卿からの度重なる屈辱的な扱いと、息子ドラコ・マルフォイの身に危険が及んだことから、一族の忠誠心は揺らぎ始める。最終的に、ホグワーツの戦いにおいて、ナルシッサ・マルフォイが息子の安否を気遣い、ヴォルデモート卿にハリー・ポッターが死んだと嘘をついたことが、ヴォルデモート卿の敗北に繋がる一つの要因となった。
マルフォイ家は戦争終盤の離反により、戦後もアズカバン収監を免れた。ドラコ・マルフォイは後にアストリア・グリーングラスと結婚し、息子のスコーピウス・マルフォイをもうけた。一家はかつてのような純血主義の過激な思想からは距離を置いたとされる。(Pottermore)
マルフォイ家の一員は、特徴的な外見で知られている。多くが青白い肌、先の尖った顔立ち、そして何よりも目を引くプラチナブロンドの髪と冷たい灰色の瞳を持っている。
一族は伝統的に、自らの純血の血統と富、社会的地位に強い誇りを持っている。傲慢で計算高く、権力や影響力を持つ人物に取り入ることに長けている。彼らはホグワーツ魔法魔術学校では、ほぼ例外なくスリザリン寮に組分けされる。純血主義を信奉し、マグルやマグル生まれ、そして「裏切り者」とされる純血の魔法使いを公然と見下す。
「Malfoy」という姓は、古いフランス語のフレーズ “mal foi” に由来すると考えられている。これは「悪しき信念」または「不誠実」を意味し、一族の狡猾で裏切りも厭わない性質を的確に表している。