動物もどき (Animagus、アニメーガス) とは、自らの意志で特定の動物に変身できる魔法使いまたは魔女のことである。この能力は生まれつきのものではなく、極めて高度で複雑な変身術を習得することによってのみ得られる。 変身する動物は術者が自由に選べるものではなく、その人物の性格や内面的な特性によって決定される。また、変身後の動物の姿には、人間の時の身体的特徴(例えば、眼鏡の周りの模様や失った指など)が何らかの形で反映されることが多い。 動物もどきは、人狼 (Werewolf) とは根本的に異なる。変身は完全に自らの意志で行われ、理性を失うこともない。動物の姿でいる間も、人間の知性や記憶は保持されるが、感情はより単純化される。
動物もどきになるための過程は非常に長く、困難かつ危険を伴う。失敗した場合、人間と動物の中間の姿で永久に固定されてしまうリスクがある。 小説本編では詳細な方法は語られていないが、公式ウェブサイト Pottermore によれば、以下のような複雑な手順が必要とされる (Pottermore)。
この過程の困難さゆえに、動物もどきになろうと試みる魔法使いは少なく、成功する者はさらに稀である。
物語に登場する動物もどきの多くは、魔法省への登録を怠った「未登録」の者たちである。
動物もどきの能力は、物語の筋書きにおいて極めて重要な役割を果たしている。特に『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、シリウス・ブラックの無実とピーター・ペティグリューの裏切りを解き明かす鍵となった。忍びの地図 (The Marauder's Map) に人間の名前で表示されることで、彼らの正体が暴かれた。 また、リータ・スキーターが未登録の動物もどきであるという事実は、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』において、ハーマイオニー・グレンジャーが彼女の違法な取材活動を突き止め、脅迫する材料となった。
Animagus (アニメーガス) という言葉は、ラテン語の animal (「動物」) と magus (「賢者」または「魔法使い」) を組み合わせた造語である。文字通り「動物の魔法使い」を意味する。