金のスニジェット
基本情報
記述と外見
金のスニジェット (Golden Snidget) は、非常に小型の鳥類の魔法生物である。その身体は完全に球形で、重さはごくわずかである。全身が輝く黄金の羽で覆われており、目はルビーのように赤い宝石のような輝きを放っている。
その最大の特徴は、驚異的な飛行能力にある。翼の関節が完全に回転するため、ほとんど静止した状態からでも、恐るべき速度と正確さで方向転換することができる。この能力により、捕食者や捕獲者から逃れることに極めて長けている。
魔法特性と用途
金のスニジェット自体が魔法を積極的に使うことはないが、その存在と能力が魔法界、特にスポーツの歴史に大きな影響を与えた。
飛行能力: 超高速での飛行と、瞬時に方向を変える機動性は、他のいかなる飛行生物とも一線を画す。この特性が、後に
クィディッチにおける
金のスニッチの動きのモデルとなった。
初期のクィディッチでの役割: かつて、金のスニジェットは
クィディッチの試合で実際に使用されていた。試合中に一羽のスニジェットが放たれ、両チームの「ハンター」(現在の
シーカーの前身)がそれを捕獲することで試合が終了し、捕獲したチームに150点が与えられた。これは、1269年の試合で
バーバラス・ブラッグが捕獲者に150
ガリオンの賞金を提示したことに由来する。(『
クィディッチ今昔』より)
歴史
金のスニジェットの歴史は、クィディッチの歴史と密接に結びついているが、その人気が原因で絶滅の危機に瀕した悲劇的な過去を持つ。
13世紀以前: その美しい黄金の羽とルビーのような目のために、一部の魔法使いによって狩猟の対象とされていた。
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乱獲と絶滅の危機:
クィディッチの公式な要素としてスニジェット狩りが定着すると、試合ごとにスニジェットが殺されることが常態化した。これにより、金のスニジェットは瞬く間に乱獲され、個体数が激減し絶滅寸前にまで追い込まれた。
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物語における役割
金のスニジェット自体は、『ハリー・ポッター』の物語本編(全7巻)には直接登場しない。しかし、その存在はクィディッチの重要な要素である金のスニッチの起源として、物語の背景に深く関わっている。
特に重要なのは、アルバス・ダンブルドアがハリー・ポッターに遺した金のスニッチである。このスニッチには、製造時にかけられた「肉体の記憶 (flesh memory)」という魔法があり、最初に触れた人物を記憶する。この「肉体の記憶」という概念は、元々生きていた金のスニジェットを捕獲していた歴史を色濃く反映している。ハリーが死を覚悟した際に口で触れると、このスニッチが開き、中から死の秘宝の一つである蘇りの石が現れた。これは、ヴォルデモートとの最終決戦において極めて重要な役割を果たした。
幕後情報
金のスニジェットに関する詳細な情報のほとんどは、J.K. ローリングが執筆した関連書籍
クィディッチ今昔 (*Quidditch Through the Ages*) に記載されている。
また、
幻の動物とその生息地 (*Fantastic Beasts and Where to Find Them*) の中でも、保護されている
魔法生物としてリストアップされ、その生態や魔法省による分類が説明されている。