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アンティオキ・ペベレル

アンティオキ・ペベレルは、吟遊詩人ビードルの物語に収録されている「三人兄弟の物語」に登場する三兄弟の長男です。彼は、三つの死の秘宝の一つである老いの杖の最初の所有者として知られています。好戦的で傲慢な性格であり、彼の物語は老いの杖が持つ危険性と、所有者を堕落させる力を象徴しています。

アンティオキの生涯は、主にゼノフィリウス・ラブグッドハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーに語り聞かせた伝説「三人兄弟の物語」を通じて知られています。 伝説によれば、アンティオキは弟のカドマス・ペベレルイグノタス・ペベレルと共に旅をしている途中、渡るには危険すぎる川に遭遇しました。三人は魔法で橋を架けて死を出し抜きました。 彼らの魔法に感心したふりをしたは、三人に褒美として望むものを一つずつ与えることを申し出ました。好戦的な男であったアンティオキは、この世で最も強力な杖、すなわち持ち主が決闘で必ず勝利できる杖を要求しました。は近くにあったニワトコの木から杖を作り、アンティオキに渡しました。これが老いの杖です。 老いの杖を手に入れたアンティオキは、かつて彼と喧嘩したことのある魔法使いを探し出して決闘を挑み、容易に勝利しました。その後、彼は宿屋で自らが持つ無敵の杖の力を自慢しました。しかし、その夜、アンティオキが眠っている間に、彼の自慢話を聞いていた盗人が忍び込み、彼の喉を切り裂いて老いの杖を盗みました。こうして、老いの杖の血塗られた歴史が始まり、杖の所有権は前の所有者を打ち負かした者に移るというルールが確立されました。

  • 外見: 原作小説において、アンティオキの外見に関する具体的な記述はありません。
  • 性格: 彼は「三人兄弟の物語」の中で「好戦的な男」 (a combative man) と評されています。力を渇望し、手に入れた力を誇示する傲慢で無思慮な性格でした。その性格が、最終的に自身の死を招くことになります。彼は、謙虚さや知恵を求めた弟たちとは対照的な人物として描かれています。

アンティオキは非常に有能な魔法使いであったと推測されます。弟たちと共に、危険な川に魔法で橋を架けるという高度な魔法を行使できるほどの腕前を持っていました。これは、高度な変身術または呪文学の知識を示唆しています。彼は、歴史上最強とされる老いの杖の最初の所有者であり、少なくとも一度はその力を使って決闘に勝利しています。

  • 老いの杖 (Elder Wand): アンティオキがから授かった、死の秘宝の一つ。芯はセストラルの尻尾の毛であり、所有者に無類の力を与えるとされる伝説の杖です。

「アンティオキ」(Antioch)は、セレウコス朝の王たちが用いた歴史的な名前であり、また古代の重要な都市(アンティオキア)の名前でもあります。この名前は、権力、闘争、そして古い血筋といった含みを持ちます。特に、横暴で傲慢な王として知られるアンティオコス4世エピファネスは、力を求めて破滅したアンティオキ・ペベレルの性格と共通点が見られます。

  • J・K・ローリングは、「三人兄弟の物語」がジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』に含まれる「免罪符売りの話」から着想を得たことを認めています。(作者インタビュー)
  • 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、「三人兄弟の物語」が独特の影絵のようなアニメーションで描かれ、アンティオキの姿もその中で視覚化されています。(映画設定)